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「子どもが軽度の言語発達遅延があります。小学校入学に向け、家庭でしておくとよいことは?」森昭憲の【子育て相談室】

森昭憲の部屋

質問 子どもが軽度の言語発達遅延があり、集団行動も苦手です。今はまだ保育園に通っていますが、小学校入学に向け、家庭でしておくとよいことはありますか?

 

編集室 まず言語の発達遅延について教えてください。
 例えば、2歳の誕生日を迎える頃になると、8割以上の子どもが、「ママ好き」「ごはん食べる」など、2つの単語を使って意味のある文章(いわゆる2語文)を話すようになるといわれています。言語発達遅延と指摘される子どもさんについては、幼稚園や保育園の先生が生活の様子を見ていて気付いたり、お母さんがママ友とのコミュニケーションの中で気付かれたりすることが多いです。
一人っ子や、同世代の子どもと交流する機会が少ない場合、親御さんが気付かないこともありますが、1歳半健診や3歳健診などをしっかり受けていれば、だいたい見つけることができます。


おおまかですが、1歳半で単語2つ、または3歳で2語文が言えない場合に、言葉の発達に遅れがあるとされます。しかし、言葉の発達は個人差の幅が大きく、言葉が出るのが先に示した年齢より遅くても、一挙に単語が出て短期間で文章を喋りだす子や急に言葉が増えて行動面も全く問題なく追いつく子も稀ではないです。


お子さんの言葉の育ちを心配されたら、言葉の出具合とは別に、①耳の聞こえは問題ないか、②日常的な言葉の理解が出来ているか、③日常生活の様子、④コミュニケーションがとれるか、についても注目する必要があります。①から④にも支障がある場合に、その後の成長で以下の参照(※)に示したものが該当することが考えられます。

編集室 子どもとの接し方で気を付けることはありますか?


 言葉で思いを伝えることは、とても大切です。幼い頃は、お腹がすいた、どこかが痛いなど辛さを訴えたい時、嬉しい気持ちを伝えたい時に、言葉ではうまく表現できないため、泣いたり怒ったり、手が出てしまうといった行動になってしまうことがあります。言葉が育つにつれ、行動が落ち着いてきたという場合も多くあります。


親御さんなど周りの大人たちは、「ああ、子どもはうまく気持ちを伝えられない悔しさやもどかしさがあるんだろうな」と想像し、「保育園に行っているだけで、よくやっている。がんばっている」という心持ちで子どもをみてほしいと願っています。そして、おうちでは、のんびりさせて、多少のわがままは大目に見るぐらいの気持ちで、接していただければ幸いです。


ご相談の子どもさんの場合、集団行動が苦手なのは、融通が利かない、感覚過敏で人が多い環境が苦手といった本人の特性から、なのかなど理由について知ることが必要です。

<※参照>
聴力障害:中等度以下の難聴や場の状況を感じ取って対応する子の場合は、聴力障害が気付かれず、言葉の遅れとして指摘されることがあります。
知的発達症(知的障害、精神遅滞):知的な発達が全般に遅いことにより言葉の発達も遅れている状態です。言葉の遅れだけでなく、年齢相応の理解が及ばない、年相応で身の回りの習慣を身につけることが難しいなどの遅れもみられます。
 

コミュニケーション症群:
(A)言語症(発達性言語障害):言葉の遅れ以外、他の発達上に問題がなく、他の原因が特に見当たらない場合です。言葉の理解は年齢相応ですが、言葉を話す事が遅れているタイプ(表出性言語障害)と、言葉の理解が発達していないために話す事が遅れているタイプ(受容性言語障害)があります。この場合は日常生活の動き、周囲への関心やコミュニケーションは年齢相応です。


(B)社会的コミュニケーション症:言葉の理解は年齢相応で言葉の意味は分かっているものの、話し相手や状況に応じた言語的および非言語的なコミュニケーションが困難なことが特徴です。例えば、相手に応じてゆっくり話したり、図書館の中で静かに話したり出来ません。また、会話の文脈を理解することも苦手で、話の流れで出た冗談を文字通りに受け取るため会話についていけなったり、和やかな雰囲気なのに堅苦しい話し方しか出来なかったりします。コミュニケーションの苦手さが幼少時には言葉の遅れとして指摘されることがあります。


(C)自閉スペクトラム症:(B)社会的コミュニケーション症の特徴に加え、他者との情緒交流の困難さ、活動と興味の範囲が著しく限られる(こだわり)、感覚のアンバランス、の特徴を伴っています。つまり、言語的および非言語的にコミュニケーションが苦手で、顔の表情や場の雰囲気を読み取ったり対人関係を理解し発展や維持をすることが困難だったりします。更には自身のルールに反して他に譲ることが難しい、同じ行動や行為に固執したり繰り返したりする、感覚の過敏さや鈍感さがある(1人の子に感覚の過敏さと鈍感さが同居している場合もあります)、などの特徴があります。