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「社会人になってから発達障害が分かりました」森昭憲の【子育て相談室】

森昭憲の部屋

質問 就職してから仕事のできなさに様々なことを疑い始め、自閉スペクトラム症ADHDと分かりました。現在は転職し、自分のことを理解してくださる会社で働いています。今後はもう一歩進んで一人暮らしをしたいと考えています。うまく暮らしていくためにはどうしたらよいでしょうか?  (20代、女性)

 

 理解のある会社に勤められていることは大変嬉しく思います。
発達に特性がある方々への理解がある会社が普通になり、本人の持ち味を発揮できれば会社の力になる、そんな成熟した社会になることを願っています。

成人になってから発達に特性があることが明らかになる場合はあります。学生時代までは、親に言われたことをし、勉強をして、学校でするべきことをして…というように、やることがだいたい決まっていて、それらをこなせば事足ります。しかし社会に出ると、これまで学んできたことの応用、臨機応変さが求められます。働いていれば、毎日いろんなことが起きます。一つ一つに対応する際、こういう時はどうすればいいのかを、これまでの経験から考えるわけですが、発達の特性がある方の中には、いろんなパターンからどれを使えばいいのかが分からず、とたんに困ってしまうという場合があります。その後に会社での居心地が悪くなり、会社を辞め、転職を繰り返し、何かおかしいと受診したところ、発達障害と診断される場合があります。

よくよくお話を聞くと、小さいころから発達に特性があった(融通が利かない、その時に集中すべきことに集中できない、言った言葉通りしか受け取れない、あちこちに注意がそれてしまい聞き逃してしまう、など)けれど、その特徴が強くなかったため見過ごされていたことが分かります。

編集室 一人暮らしをするためには、お金や物の管理、部屋の片づけなどを自分でしなければいけません。特徴は人それぞれ異なりますが、物をなくしやすい、約束を忘れてしまう、片付けが苦手という方が見られます。

森 例えば、物をなくしやすい場合は、1つ大きめのファイルを決め、配布などされたら、とりあえずファイルに入れて、1日の終わりにファイルに入れた物を重要度、優先度、などに分けて整理するという習慣を身に付けるといいかもしれません。またスマートフォンのリマインド機能(リマインダー)を活用し、約束や支払日など忘れてはいけない事の前日や数時間前にお知らせがくるように設定して忘れにくくする方法もありますよ。

お金の管理は一人暮らしでは大切な事の1つです。まずは家族と一緒に住んでいる間に、家賃や必要な経費を設定し、疑似一人暮らし体験から始めてみては如何でしょうか。そして家事についても手伝いの形で掃除、洗濯、料理をすることで家族から意見をもらうこともありと思います。

編集室 困ったことがあった時、どこに相談すればよいでしょうか。

 身近なところでは親御さん、友人、その他信頼できる人、この方の場合には会社で信頼している方もいいのではないでしょうか。また、診断を受けた病院の医師やソーシャルワーカーなどスタッフ、また地域の保健センターにも窓口はあります。相談する場については3~5か所あると良いと思います。相談場所が1ヵ所ですと意見の信頼度に迷うし、2ヵ所だと2つそれぞれ違うことを言われた時に迷ってしまいます。また、相談場所が多すぎると意見が色々になって迷いが多くなり決められなくなる傾向があるためです。
「この種類の相談はここで」というように、内容によって相談場所を決めておくのも良い方法だと思います。

編集室 悩みを話し合うサロンのような場はありますか。

 NPO法人「ここらいふ」は、発達障害や心の病気で悩む当事者を対象に「ハッピーサロン」を開いています。
また、県発達障害者支援センター「ほっぷ」では「保護者サロン」を開いています。子どもの発達のかたよりが気になっている保護者を対象とし、相談支援専門員を交えて悩みを語り合ったり情報交換をしたりしています。県西部でも高岡市きずな子ども発達支援センターにて保護者サロンが開始されることになりました。ぜひご参加ください。

 

「ハッピーサロン」
富山市内で毎月4回開催。詳細はここらいふHP http://www.coco-life.jp/
(問い合わせ)電話076(441)6678

「保護者サロン」
 未就学児の保護者の会 8月8日、11月21日、2019年2月20日
 学齢期の保護者の会  10月17日、2019年1月16日、3月20日
 成人期の保護者の会  9月19日、12月19日

(場所) 県発達障害者支援センター「ほっぷ」(富山市下飯野36)
(時間)午前10時~正午
(問い合わせ)電話076(438)8415

 高岡市きずな子ども発達支援センター「保護者サロン」
(日時)9/12(水)、11/14(水)、1/9(水) 午前10:00~12:00
(場所)高岡市きずな子ども発達支援センター 研修棟
(対象)未就学児の保護者
(参加費)無料
(申し込み)電話またはFAXにて事前申し込み (当日参加も受け付けます)
              TEL(0766)21-3685  FAX(0766)27-7080

 

森 昭憲(もり・あきのり)

県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 小児科部長(児童精神)・精神科部長  心理療法科長 

1970年生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業。
内科、和漢診療を経て、精神科病院に勤務。あいち小児保健医療総合センター心療科、豊田市こども発達センター、愛知県立城山病院(児童精神・精神科)にて児童精神医学・発達障がい診療の研修。
2017年より富山県リハビリテーション病院・こども支援センターに勤務し、子どもの心の外来・精神科の診療を担当する。資格は精神科専門医・指導医、精神保健指定医

【ひとコト】子どもの特徴を知り、特徴に合わせた工夫や手立てを考えていくことが、子どもがより良い人生を歩んでいくことにつながります。また子どもにとって真に過ごしやすい社会は、大人も過ごしやすくなると考え、日々診療しています。


県発達障害者支援センター「ほっぷ」は、教育現場や福祉施設で、発達障害の方を支援する人たちの支援、人材育成を通して、富山県が皆さんにとって住みやすくなるよう活動しています。詳しくはhttp://www.toyama-reha-hop.jp

 

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