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㉔「HSCが浸透した世界」 イラストレーター太田知子の【敏感さは宝物 ななとひよこママのHSC子育て】

500万部を突破している「子育てハッピーアドバイス」(明橋大二真生会富山病院医師ら著、1万年堂出版)シリーズのイラストをはじめ、子どもを描いたかわいいイラストが人気の太田さん。プライベートでは、ちょっと敏感な心と体を持つ二人の子どものママでもあります。日々の子育ての様子を楽しい4コマ漫画とエッセーでお伝えします。

ひといちばい敏感な子(HSC)についての連載も、今回で最後となりました。

思えば、この1、2年の間に、「HSC」という言葉が、だいぶ浸透してきたように感じます。

2年前、私が1万年堂出版の「HSCのための子育てハッピーアドバイス」という本のイラストを描いていた頃、まだ「HSC」は日本ではあまり知られておらず、ほとんどの人にとっては馴染みのない言葉でした。

それでもあえて書名に入れたのは、「HSC」という言葉を、どうしても広めたいという願いがあったからです。

この言葉を知るのと知らないのとでは、生き方も、子育ても、全く違ってきます。

HSCは、自分に厳しく、しつけの影響をとても受けやすい子どもたちで、どうして自分はこんなに傷つきやすいんだろう、他の子と同じようにできないんだろうと、常に自分を責めています。
でもそれは生まれつきの個性なのだと知るだけで、責める必要がなくなります。
そして、どの個性もかけがえのない自分らしさと受け入れられるようになると、親も子も、とても楽に生きられるようになるのです。

また、これも是非知っておかなければならないことですが、HSCは、悪い影響を大きく受けるのと同じくらい、よいことにも大きく影響を受けています。

人の笑顔、思いやりや、親切、愛、友情、絆、ユーモアやジョーク、感動的な話、そして心打つ芸術や、美しい風景など、この世のあらゆるプラスのメッセージに、一番強く影響を受けているのは、敏感な子どもたちなのです。

だから、敏感な子どもが、学校で先生から褒められるなどすると、そうでない子どもにとってはそれほどではなくても、HSCにとっては一生忘れられないくらい強烈な喜びの記憶となり、どんどん明るく、前向きに、そしてそうでない子どもよりも、タフになります。
HSCには、ほんの少しの思いやりの言葉や、たった一回の笑顔でも、大きなエネルギーとなることを、是非知ってください。

だからこそ、子ども時代にHSCという言葉に出会い、周りの大人がその性質を知ることが、いかに大切なことか痛感せざるを得ません。

学校の先生は、他にもたくさん気にしなければならないことがある中、HSCのことばかりに心をかけていられないと思われるかもしれませんが、HSCが認知され、居心地のよいクラスになることは、本人にとってよいだけでなく、周りの子どもにとっても、よいことです。
HSCにとって住みやすい世の中は、すべての人にとって住みやすい世の中だからです。

HSCの概念が広がることは、多様化の概念が広がることにもつながります。

「私は私でいい、それと同じようにあなたもあなたでいい。みんな違って、みんないい。」

いつかHSCというラベルがいらなくなり、それぞれが、自分とは違う相手のことを、尊重しあえる世の中になれば、こんなに素晴らしいことはありません。

(おわり)

◆太田知子(おおた・ともこ)◆

1975年、東京都生まれ。
主に子どものイラストを中心に描くイラストレーター。
小学生と高校生の2児の母。
著書『子育てハッピーたいむ ななとひよこの楽しい毎日』1~3
『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち』1~5
『HSC子育てあるある うちの子は ひといちばい敏感な子!』