③描く・自分の世界を絵にする【おうちで特訓 ママ・パパは名コーチ!】
学校生活の中で、子どもが苦手を感じることはたくさんあります。時間がたっぷりある夏休みは“苦手”を“楽しい”に変えるチャンス。各分野の専門家が、苦手な理由を分析し、ママ・パパが名コーチとなって指導する際のポイントや練習法を紹介します。
- 2018.07.03
- 学校
<きょうの先生> 似顔絵作家・イラストレーター でこりんさん
絵は自分の世界を表現する一つの方法です。自分が考えていること、感じていることを絵という形で表わすことができます。そして、その絵を通していろいろな人たちと関わることができるのです。
絵が苦手な理由は、子どもの年齢やその子のタイプによっていくつか考えられます。例えば、白い画用紙を前にすると緊張して何を描いたらいいか浮かばない、描きたいものの描き方がわからない、人に見られるのが恥ずかしいなどで、高学年になると、自分がイメージする通りに描けないという理由から苦手に感じる子どもも増えていきます。
まずは、その子の苦手な原因を知ることから、解決のためのレッスンをスタートしましょう。
最も多い原因は「描き出しが難しいから」
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どうして描き出しが難しいの?
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いざ白い画用紙を目の前にすると、「何をどこにどのように」描いたらいいのか浮かばないから。
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仕上げるまでにかなりの時間がかかるため疲れてしまい、集中力がもたない。
これが苦手な子どもたちの、心と体のメカニズムです。
①アイデアを文字にしよう!
実際に絵にとりかかる前に、これから描こうとしていることを文字にしてまとめるとよいでしょう。子ども自身が頭の中に浮かんだことを整理できるほか、子どもが描こうとしていることを確認できるため、ママ・パパが手助けする際にも役立ちます。
レッスン1☆アイデアノートの作成
- 主人公を決める
- 主人公がどこで何をしているのか決める
- そのほかの登場人物、描きたいアイテムなどを決める
②下描きは色鉛筆で
描こうとするもののイメージに合わせて色鉛筆を一色選び、下描きをしましょう。色鉛筆にすると下描きの線を消さなくてもよいため楽で、仕上がりもきれいになります。
レッスン2☆下描きの色鉛筆の色選び
- 海の中、宇宙を描くときは…寒色系
- 花や動物を描くときは…オレンジ系
- 森や木々を描くときは…緑系
もしも迷ったらオレンジ系を使うのがおすすめ!
③主人公だけを先に仕上げる
絵は下描きをすべて終えてから色塗りという順番でなくてもOK。途中であきらめたくなることが多い場合は、主人公だけ先に色塗りまで仕上げるという方法も。主人公を先に完成させることで、次の展開が想像しやすくなります。
レッスン3☆主人公を描く
- 主人公は一番目立つ場所に描く。
- 生きものの場合は目の入れ方が重要。目の位置やサイズによって印象が大きく変わる。
☆何に見えるでしょうかゲーム
図形から連想するものを絵にしていきます。画用紙に○や△などの形を水彩で描き、何に見えるかをゲーム感覚で連想しながら、どんどん描き加えていきます。子どもひとりでも親子でも楽しめるゲームです。
☆はみ出して描く!
絵は画用紙からはみ出すくらいにして描きましょう。新聞紙などを敷いてあげれば、机も汚れずに済むでしょう。
☆親子の会話で創作活動
親子で会話を楽しみながら、絵のストーリーをふくらませましょう。主人公がどこで何をしているのかを決めたら、「主人公はどんな気持ち?」「そこにはどんな世界が広がっていると思う?」など、ママ・パパがリードしながら創作しましょう。“ありえないもの”同士の組み合わせで面白いストーリーができあがります。
☆画材を自由に選ぼう!
応募作品を描く場合は用紙サイズや画材などを確認しましょう。画材自由なら、スポンジやハブラシ、レンコンハンコなどを使ってみるのもおすすめです。
☆工夫したことを発表
親が良い点を具体的に見つけて褒め、どうやって描いたのかを子どもに話してもらいます。子どもは工夫した点などを再認識することができ、おさらいにもなります。
☆失敗したらドライヤー
もし失敗したら、ティッシュで押さえたあとドライヤーで乾かし、乾いた上から描き直しましょう。
子どもが楽しそうに描いているものは、認めて褒めてあげましょう。色使いや独創性はもちろん、道具の使い方や絵を描いているときの様子から、前回よりもできるようになったことなど、良いところを見つけ具体的に褒めることが大切です。また描いたものをたくさんの人に見せて褒めてもらうことで、子どもは自身の表現方法に自信がつき楽しんで描くようになるでしょう。
絵を描くことは創作活動です。子どもの様子を見て、休憩をはさむ、次の日に持ち越すなど、ワクワクした気持ちで絵が描けるようにサポートしてあげましょう。
でこりん

似顔絵作家・イラストレーター
商品パッケージや企業CMのイラストなどを手がけるほか、高岡市や石川県内で、4歳から小学6年生までの子どもたちを対象にした「でこりんおえかき教室」を開催している。
北日本新聞 夏休み 森のきょうしつ「でこりんのお絵かき教室」講師。