メニュー

「軽度の発達障害の子ども。小学校は普通級がいいのか、支援級がいいのか悩んでいます」森昭憲の【子育て相談室】

-

森昭憲の部屋

森 昭憲(もり・あきのり)

県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 小児科部長(児童精神)・精神科部長  心理療法科長 

1970年生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業。
内科、和漢診療を経て、精神科病院に勤務。あいち小児保健医療総合センター心療科、豊田市こども発達センター、愛知県立城山病院(児童精神・精神科)にて児童精神医学・発達障がい診療の研修。
2017年より富山県リハビリテーション病院・こども支援センターに勤務し、子どもの心の外来・精神科の診療を担当する。資格は精神科専門医・指導医、精神保健指定医

【ひとコト】子どもの特徴を知り、特徴に合わせた工夫や手立てを考えていくことが、子どもがより良い人生を歩んでいくことにつながります。また子どもにとって真に過ごしやすい社会は、大人も過ごしやすくなると考え、日々診療しています。


県発達障害者支援センター「ほっぷ」は、教育現場や福祉施設で、発達障害の方を支援する人たちの支援、人材育成を通して、富山県が皆さんにとって住みやすくなるよう活動しています。詳しくはhttp://www.toyama-reha-hop.jp

 

質問 「幼稚園児の息子は、軽度の発達障害があります。来年、小学校に入学しますが、普通クラスがいいのか、支援が得られるクラスがいいのか悩んでいます。(40代パパ)

 

森 学校とは何か?と考えると、まずは勉強をする場、そして友達や先生との関係、行事への参加などを通して社会性を身に付ける場と言えるでしょう。

今回の相談者に限らず、普通級か?支援級か?を考える前に、子どもさんが学校で過ごす時に学習面と社会面で困ることが何かを考えることが必要でしょう。困る、または困ることが予想されることは、支援という方法が必要なのか。支援が必要ならば必要な支援は何か?を考えることになります。その結果、必要な支援を受ける場所が普通級・支援級・通級・支援学校、何が適しているかを決めていくことになります。

ただ、保護者だけでは判断が難しいと思いますので、まずは通っている幼稚園や保育園の先生に、学校に進んだ際に心配が予想されることを聞いてみるといいと思います。その他の相談窓口としては、子どもさんを診断してもらった医療機関、療育を行う児童発達支援センター、市町村の教育委員会が開く地区相談会などもあります。さらに通学を考えている地域の学校に見学に行き、先生から直接話を聞くことも、判断材料の一つとなります。疑問や思いを率直に聞かれると良いでしょう。

見学に行く際には、ぜひ本人も連れて行ってみてください。初めての場所に行くとパニックになったり、動けなくなったりする子どもさんの場合は、まず車で学校の周りを走りながら「今度、見に行ってみようね」と声を掛け、後日、児童が帰った夕方に学校を訪ねてみるなど子どもさんと一緒に楽しく計画を立てて行くといいですね。

教室の雰囲気を見て、本人が「無理」と言うことも考えられます。それは明らかに無理なのか、初めてだからなのか、その判断は難しいですよね。なので1回ではなく、何回も行ってみてください。そして、学校と相談し本人も家族も納得した上で選ぶことをおすすめします。

編集室 普通級、支援級それぞれの良さとは?

 普通級では、集団での人間関係を身に付けることができます。
ただし、気分が乗らないと物事が進まない、気分が乗ると逆に止められなくなってしまうという特徴の子どもさんの場合、普通級ではやりにくさを感じるかもしれません。何度注意されても集団行動ができなければ、クラスメートから「何でこんなことをするんだ!」ときつく言われることもあるかもしれません。そうなると教室にいるのがつらくなることも考えられます。

支援級の良さは、教材の工夫ができること、少人数なので個別の指導がしやすいことがあります。興味があちこちに向き、落ち着きがないADHD(注意欠如・多動症)の特徴を持った子どもさんは、人や物が多いとさらに落ち着きがなくなることがあります。また、感覚過敏でざわざわしている場所が苦手な子どもさんは、環境を調整しやすい支援級が適しているかもしれません。

なお、学校は、子ども一人一人の特徴を知り、特別な教育的支援が必要な子どもさんに対しては、どのように学校生活を進めていくのかを、担任だけでなく特別支援教育コーディネーターや他の教員などが関わって個別の教育支援計画や指導計画を立てることになっています。

すべての大人には「普通級と、そうではないクラス」など、支援級や特別支援教育に対する偏見をやめることをお願いしたいです。子どもさんの将来にとって、学習の場と社会性を学ぶ場としての学校生活は、普通級・支援級その他どこが適しているのかを色眼鏡なしで判断していただきたいです。

子どもさんの特徴を考慮せず、無理して普通級にいれたことで不登校になったケースが実際にあります。また、大人が特別支援教育に対する偏見を持っていると子どもたちにも伝わり、支援級に対して差別的な発言をする子どもさんがいたり、支援が必要な子どもさん自身が支援を拒否することにつながります。

編集室 担任となる教員には、どのようなことを伝えるとよいでしょうか。

 保護者目線や診断を受けた所などの情報から、子どもの良いところも、困っていることも、具体的に伝えることで、理解が得られやすいと思います。
私は診療を通じ、学校の先生方は、全ての子どもさんに対して真剣に向き合って日夜頑張っていらっしゃると実感しています。保護者の方々には、学校への要求が強くなりすぎないよう心を配り、先生方と子どもさんの将来にとって良い学校生活を一緒に考えていく関係を作っていくことを願います。

 

 コメンテーターの皆さんへの相談、アドバイスへのご意見、また「うちも同じですよ」「うちはこうしてちょっと良くなりました」など共感やアドバイスなど、あなたの声をお待ちしております。ご意見はこちらから