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【息子と一緒にぶらり とやまの銭湯♨】①高原鉱泉(富山市高屋敷)

「銭湯すたれば 人情もすたる 銭湯を知らない子供たちに 集団生活のルールとマナーを教えよ」。銭湯・サウナをこよなく愛するコノコト編集室のKです。詩人・田村隆一の一節に教えられ、「自宅風呂」派の息子(小学5年生)を誘い出して銭湯の魅力を伝えていこうと思います。初回は富山市の老舗銭湯「高原鉱泉」を紹介します。

 約60年間にわたって親しまれてきたこの銭湯。
玄関へと続くアプローチは濡れた石畳や竹、灯篭で飾られ、まるで高級旅館のようなしつらえで、お湯に入る前から和ませてくれます。下駄箱に履き物を入れ、すぐ隣にある番台へ。玄関は最近のスーパー銭湯と同じ構造で、男女共通です。


 料金を支払い、早速男湯に行こうとしたところ、横にいた息子の姿が見当たりません。ふと見ると、息子は休憩室の大型テレビでちょうど始まった金曜ロードショー「美女と野獣」にくぎ付けです。
おいおい風呂よりテレビか…。
そんな息子の腕を引っ張って脱衣場へと向かいます。金曜日の夜とあって脱衣場はにぎやか。金曜ロードショーをあきらめた息子は、脱いだ服をロッカーに入れると「先に行くよ」と言い残し、さっさと浴場へ行ってしまいました。
「おーい、体洗ってから入るんだぞ~」。


 浴場は洋風の「北の湯」と和風の「南の湯」に分かれ、奇数日は男性が「南の湯」。この日は「南の湯」に入ります。大湯、泡風呂、電気風呂のほか、奥には露天風呂、入り口右手にはうたせ湯コーナー、そしてフィンランド式サウナに水風呂と、銭湯としては豊富なラインアップです。ちなみに「北の湯」には露天風呂がない代わりに歩行風呂があるのだそうです。


 ケロリン桶と椅子を手に、息子の隣の洗い場に座ります。シャワーはホースこそついていませんが、角度調節は可能。銭湯なのでシャンプーや石鹸は持参したものを使います。最近気になり始めた髪をボリュームアップシャンプーで優しく、全身は加齢臭を取り去ると最近話題のボディーソープで入念に洗います。
「背中洗ってやろうか」
「いや、いい。それよりお父さん、髪スカスカ」
「うるさい、お前もいつかこうなるんだぞ」
「いや、オレはならんもん」
「そんなことないぞ、おじいちゃん見てみろ」
「…」。


 さて、全身を洗い終わった私たちは湯舟へ。最初に入った泡風呂はかつて経験したことのないほどクリーミーな泡立ちで、温度は適温の41.5度に設定されています。続いて露天風呂。


こちらでは「名湯秘湯全国温泉めぐり」と題し、草津、伊香保、別府、登別、玉川など全国の有名温泉の湯の花を十数種類取り寄せているんだとか。この日は群馬県渋川市伊香保町にある名湯「伊香保温泉」です。茶色く濁ったお湯で、こちらも適温の42度。


周囲の外壁はお城の石垣を思わせる石積みになっていて、見上げれば湯舟の上に仏像も鎮座し、なんだかありがたい気分にもなってきます。


 8人も入れば満員のサウナは一人の時にとっておき、打たせ湯も体験しようとしたところ、「お父さん、もう出ようよ~」と、息子からタイムアップの声が掛かりました。もうちょっとゆっくりしたいところですが、そろそろ喉も乾いてきました。ちゃっちゃと着替えることにしましょう。


 和紙の照明が優しい休憩室には、昔懐かしい駄菓子コーナーや8種類のバリエーションが楽しめるスジャータアイス、イソギンチャクや水草が揺らめく熱帯魚の水槽など、子どもを飽きさせない癒やしのアイテムがそろっています。一足早く出た息子はテレビの前のソファに座り、すっかりリラックス。再び「美女と野獣」の世界に入っています。
 自宅のようにくつろぐ息子の姿を見て、この銭湯が長く親しまれてきたその理由が分かったような気がしました。

【メモ】
〒939-8036 富山県富山市高屋敷419
TEL.076-423-5471
営業時間…平日・土曜日14:00~24:00
日曜日8:00~24:00
定休日…毎週月曜日(祝日の場合も休業)
料金:大人(12歳以上)  420円
中人(6歳以上12歳未満)  130円
小人(6歳未満)  60円 ※毎週日曜日は無料
共通入浴回数券(11枚綴り)  4,200円
駐車台数…30台