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②野菜ソムリエプロ 高田睦さん 【悩めるワーママ 私の選択】

子育てもしたい、でも仕事も、自分の夢もあきらめたくない。悩みながら1歩を踏み出したワーママ(ワーキングママ)たちを取材します。

4人の子育てと家事、仕事  隙間時間で憧れの資格を取得

 早朝4時半。保育園児から中学1年生まで4人の女の子を育てる高田睦(38)さんの一日が始まる。富山市で夫と兼業農家を営み、様々な野菜を栽培・出荷するかたわら、昼間はイタリア料理店で働き、さらに野菜ソムリエとしても活動するワーキングママだ。

 起きるとすぐに掃除と朝食・弁当作りに取り掛かり、朝のうちに夕食の仕込みまで終える。午前6時、子どもたちが起きだし朝食。7時には畑に出ていた夫が戻り、家の中のことは夫と子どもにバトンタッチ。今度は高田さんが畑に行き、4女を保育園に送るまでの1時間、収穫した野菜の袋詰め作業を行う。トウモロコシなら1回の作業で60個以上を詰めるという重労働だが「実はこの1人で黙々と集中する作業が楽しいんですよ」と高田さん。


 作業を終えると、四女を保育所に、野菜を直売所に届け、夕方まで富山市内のイタリア料理店で働く。ほっと一息つくのは、店から戻り保育所に子どもを迎えに行くまでの約1時間だ。しかしこの時間も無駄にはできない。「大事な自分の時間だから」と、野菜ソムリエとして参加するイベントの準備などをし、再びママの時間に戻る。

 目まぐるしい日々の中で、どうして野菜ソムリエの資格を取ろうと思ったのか。そのエネルギーはどこから来るのか。

 高田さんは22歳で兼業農家の夫と結婚し、25歳で出産。長女が生まれたのをきっかけに、「子どもたちに安心できる野菜を食べさせたい」と田んぼ1枚を畑に替え、野菜農家として歩み始めた。そして5年ほど前、野菜栽培の参考にしようと参加したイベントで、野菜ソムリエ上級プロの田中美弥さん(富山市)に出会った。

 野菜の特徴や栄養、調理法など、どれも専門的な知識に裏付けられた話は、驚きと発見の連続で、農家としてだけでなく生活者として毎日の暮らしに役立つ点にも強くひかれた。「自分も知識を身に付けたい」と初級講座の受講を決め、忙しい毎日のちょっとした空き時間を見つけて勉強し合格した。「本当に大変でしたよ。でも、負けん気が強いのと家族の応援のおかげで頑張れました」と振り返る。

 2017年には、中級講座の試験にも合格。専門的な知識を得たことで、野菜栽培の病気対策をこれまで以上にうまくできるようになった。でも一番の〝収穫〟は、人との出会いだ。「野菜ソムリエの人たちって活動的。仲間たちからいい刺激をいっぱい受けています」とほほ笑む。今は、農薬や化学肥料などを使わないオーガニック野菜に興味があり、いずれは有機栽培に挑戦しようと考えている。

 もう一つ、野菜ソムリエに挑戦したことで得たことがある。自分の時間の作り方がうまくなったことだ。子どもが自分でできることを増やしていく、食事の準備や下の子どもたちの面倒を進んでする、そんな子どもたちの成長を手助けすることが、結果として自分のために使える時間を増やすことになる。もちろん、子ども4人が仲良く遊んでいる時も、母としてはとても幸せな自分の時間となる。

 休日は必ず予定を入れている。「何もしていない時間がもったいなくて」と、家族とプロバスケットボールチーム「富山グラウジーズ」の試合を観戦したり、友人と食事に出掛けたり。手帳には予定ややるべきことを書いた付せんがいっぱいだ。「慌ただしいくらいが性に合っている。元気の秘訣は、子どもと一緒に夜9時半には寝ることかな」