3学期は、小学生たちにとっては縄跳びのシーズンです。「おうちで特訓 ママ・パパが名コーチ!」の縄跳び編(2019年1月公開記事)では、道具選び、正しい基本姿勢から二重跳びの練習方法、あや跳び、交差跳びのポイントまで、動画で分かりやすく解説しています。
<きょうの先生> 富山大人間発達科学部 佐伯聡史准教授
縄跳びの動きの中には、基本的なリズムやテンポのほか、巧緻性(手先などの器用さ)、敏しょう性など、すべての運動に通じる大切な要素がたくさん詰まっています。特にポイントとなる「速める、緩める」という動きを小さいうちに身に付けることで、その後に取り組むサッカー、テニス、野球、スキーなど、あらゆるスポーツに応用することができるのです。
運動が苦手な子でも、正しい動きをマスターすることで、必ず跳べるようになります。自宅で姿勢や動き方をチェックしてあげながら、楽しく上達できるよう、前向きな声掛けでサポートしてあげましょう。
まずは道具選び
縄跳びは遠心力を利用して縄を回すため、縄にもある程度の重さが必要です。100円ショップで売っているような軽すぎる縄では、回転がつきにくく、ジャンプとのタイミングが合わないことが多いため、上達を妨げてしまうことがあります。800円〜1,000円程度で、グリップや重みがしっかりとした縄を買うことができるので、自分に合うものを探してみましょう。
正しい基本姿勢
まずは、縄の長さを調整します。軽く脇をしめた状態で、かかとで縄を踏んだ時に、手がみぞおちの高さにくるくらいがベストです。
足は軽く広げ(肩幅より狭く)、手は腰の高さを目安に低い位置をキープします。跳んでいる最中に力が入って、手の位置が高くなってくると、引っかかる原因になります。視線は前ではなく、斜め下の低い位置を見るようにしましょう。
親指と人差し指でグリップの先の方を持ち、あとの指は軽く添える程度。短くグリップの根元を持ってしまうと、スナップを効かせにくくなるので、できるだけ長く持つように心掛けましょう。
縄の回し方
縄を片手で持ち、手首の使い方を練習しましょう。肘は体につけたまま、手首から指先をうまく使って回します。力任せではなく、縄の重さを感じながら(利用しながら)、回しましょう。縄が落ちてくる時に、パッと加速させることがポイントです。前回しができたら、後ろ回しも同じように練習してみましょう。
タイミングを知ろう
顔の前を通過するあたりで縄を加速→床に当たって「パチン!」と音がするタイミングでジャンプ→背中を通過するあたりで減速
この繰り返しを意識します。速すぎても遅すぎてもいけません。そして、ジャンプに大切なのは、高さではなくリズム。縄の速さに合わせて、「ポン、ポン、ポン、ポン…」と一定のリズムで跳べるようになることが必要です。着地は、次のジャンプへの準備なので、力を入れすぎず、リラックスした状態で跳び続けることが重要なポイントです。
【二重跳び】
Step1
二重跳びの場合、急いで縄を2周させなければいけないと思うと力が入ってしまいますが、1回のジャンプの間に、“足の幅+1周(360度)”だけ縄を回せば良いのです。
出来ない子に多い失敗の原因が、跳ぶタイミングが“早すぎる”ということです。縄が降りてくる前に飛んでしまい、引っ掛かってしまうパターンがほとんどです。縄の持ち方、回し方、跳ぶタイミングを意識して、連続してできなくてもいいのでまず1回、二重跳びを成功させます。
Step2
次に、二重跳びをした後、何回か一重跳びをはさんで、また二重跳びをするという風に繰り返し、縄の回転とジャンプを途切れさせない練習をします。こうすることで、縄の緩急も自然と身につき、ジャンプのリズム感もつかむことができます。
Step3
Step2がうまくできたら、連続での二重跳びにチャレンジしてみましょう。手の位置を低くキープし、視線はやや低め。縄が足の下を2回通過したら、一瞬減速します。縄の回転が速すぎると次のジャンプをする前に縄が足にかかってしまいます。縄を減速することによって、着地からジャンプまでの「間」を作り出すことが大切です。
【あや跳び】
手をクロスさせる交差跳びと一重跳びを交互に行うあや跳びの練習です。
交差する時に、円の軌道が小さくなるため、猫背の姿勢をキープすることがポイントです。そして、手は低い位置でクロスさせることで、よりスムーズに回すことができます。
正しい手の位置
間違った手の位置
正しいあや跳び
【交差跳び】
手をクロスさせたまま連続で跳び続ける交差跳びの練習です。こちらもあや跳び同様に、猫背の姿勢で、手は低い位置で回します。手首を柔らかくスナップさせて、リズムよく跳び続けましょう。
(動画6)
【後ろ交差跳び】
うまくなったらこんな技もできるように!
大学では、長めのビーズロープを使った「連鎖交差跳び」というものを授業に取り入れています。二人以上で組を作り、左右入れ替わったり、向きを変えたりと、跳ぶ人同士の連帯感が必要になってきます。右手と左手が違う動きをするため、頭と体をフルに使って行うとても高度な運動ですが、前跳びと後ろ跳びができればチャレンジできます。多い時には何十人もが一列になって一斉に行います。縄跳びには無限大の可能性があるので、苦手意識を持たずに楽しくチャレンジしてみましょう。
◇佐伯聡史◇
富山大学人間発達科学部准教授
体操競技部監督
「スポーツ運動学」を専門に、体操、縄跳びのほか、テニス、スキー、バドミントン、ゴルフなど、スポーツ全般の指導を行っている。