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県内初の私立小 片山学園初等科4月開校

​​​​​​■英語教育に独自性/「グローバル人材」育成


 県内初となる私立小学校「片山学園初等科」が4月、射水市戸破(小杉)に誕生する。先行して開校した中学校(2005年)、高校(08年)と連携し、12年間一体的に小中高一貫教育を行う。特色あるカリキュラムへの関心は高く、県内教育界にどのような影響を与えるのか、保護者や学校関係者の注目を集めている。(文化部・中田真紀)

 公立、私立学校とも、学習指導要領にのっとり授業を行う点は共通している。その上で私学は、それぞれの教育方針にのっとり、授業や課外活動などで独自性を打ち出している。

 片山学園初等科が特に力を入れるのは英語教育だ。小学1年から毎日1時限(週5時限)、英語の授業を設け、これを6年間継続する。現在の学習指導要領では、3・4年生で年15時限(2020年度からは35時限)、5・6年生で年50時限(同70時限)と定められ、1・2年生に英語の授業はない。

 小学6年生では、高校1・2年の語彙(ごい)レベルの教科書を使う予定。卒業時に英検準2級の取得を目標に掲げ、グローバル社会に対応した人材育成に取り組む。

学校説明会で米出身講師による英語の模擬授業を体験する子どもたち=昨年7月、片山学園中学校・高校


■日本語禁止


 英語の授業は専用の教室で受ける。ここでは日本語は一切禁止。外国にいるような環境をつくり、聴く力と話す力を養う。初等科校長に就く原本幸一初等科設立準備室長は「語学力を高めるだけでなく、臆せず世界の人たちとコミュニケーションを取れるようにしたい」と語る。英語教育を手厚くした分、授業時数も増え、公立と比べ6年間で約1200時限多い。

 ユニークなのが思考力を育む「PGPタイム」と呼ばれる取り組みだ。パズル(P)、ゲーム(G)、プログラミング(P)の頭文字から取った。将棋やオセロ、百人一首といった対人型の遊びを通して、論理的思考力や集中力、戦略性を高めるのが狙いだ。

 放課後は、学校施設を使った「アフタースクール」を実施。自習や宿題、習い事をする場として利用してもらう。

 片山学園中学、高校と違って、小学校に寮は設けず、児童は自宅から通うのが基本。富山駅と高岡駅からスクールバスを運行する。


■強い公立志向


 子どもの数が減り、公立小学校の統廃合が進む中、慶応や早稲田実業、青山学院といった都心の有名私立小は高い人気を誇る一方、地方では定員割れの私学も少なくないという。

 公立志向が強い富山で、私学の小学校がどれだけ実績を伸ばせるかは未知数だ。地域に定着するまで、ある程度の時間がかかることも予想される。5回にわたって開いた説明会の参加者は延べ700人を数え、関心の高さをうかがわせた。原本室長は「社会でたくましく活躍できる人材を育てたい」と力を込める。
 

射水市戸破に開校する片山学園初等科のパース図


<公立・私立の違いは?>

■私立・長期の課程編成/公立・授業料かからず


 これまで市町村立と富山大附属の小学校しかなかった県内の保護者にとって、私立校、しかも中高との一貫校はイメージしにくい。片山学園を例に、違いを紹介する。

 小中高一貫校は、長期的な視野で教育に取り組めるのが大きな利点。英語教育を特色に打ち出す片山学園では、初等科から英語を学んできた子どもたちが、中学進学後も無駄なく語学力を伸ばせるよう、レベル別にクラスを編成する予定だ。

 一方、義務教育の公立校は授業料が要らず、経済的負担が少ない。片山学園初等科では授業料42万円と施設・設備費24万円を合わせて年間66万円かかる。

 地元の小学校で伸び伸び育てたいと思うか、私立学校で特色ある教育を受けさせたいと考えるかは、保護者の判断となる。富山大人間発達科学部の笹田茂樹教授(教育行政学)は「親のニーズは多様化している。公立小学校とは違った教育を受けさせたいというニーズは一定程度あるだろう」とみる。

2019年1月20日北日本新聞・webunより