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公文教育研究会

不登校増 支援の広がり一因に

 県内の公立小中学校で、2017年度の不登校(年間30日以上の長期欠席)は907人で、16年度と比べ100人以上増えた。全国の小中学校でもここ5年間増え続けており、文部科学省の調査では17年度に14万人を突破、統計が現行方式になった1991年度以降最も多かった。県内の専門家らは、不登校の児童生徒への支援を明記した法律の施行などによって、不登校に対する考え方が変化したことが一因ではないかとみている。(社会部・田辺泉季)

ご飯を食べたり、ゲームをしたりと、思い思いに過ごす不登校の子どもたちと宮田代表(中央)=コミュニティハウスひとのま

 「人の顔色をうかがうようになった。この人、本当は何を考えているんだろうって」。高岡市内の中学2年の男子生徒(14)は、2018年1月からほとんど学校に通っていない。原因は進学に伴う人間関係。「人間不信みたいになって、疲れちゃった。中学には戻りたくない」
 高校1年の男子生徒(16)は中学時代に不登校を経験。クラス替えで親しい友人がいなくなり、「みんな楽しそうなのに自分だけ1人。疎外感に耐えられなかった」。
 2人は、不登校の児童生徒らを受け入れる「コミュニティハウスひとのま」(高岡市東上関)を利用している。宮田隼代表(35)は「いじめなど分かりやすい原因はきっかけでしかなく、ささいな出来事が積み重なって不登校になる場合が多い」と話す。

全国は14万人突破


 文科省の問題行動・不登校調査によると2017年度、不登校の小中学生は全国で14万4031人で、1991年度以降初めて14万人を超えた。県内では公立小学校で16年度比約1・4倍の276人、公立中学校は23人増の631人となった。


 不登校の増加を背景に、文科省は16年9月、都道府県教委などに対し支援の在り方を通知。不登校は学習の遅れなどの支障が出る恐れもあるとしつつ、休養や自己分析といった意義もあり、フリースクールや適応指導教室に通う選択肢もあることなどを示した。同12月には国や自治体による支援を明記した教育機会確保法が公布された。

校外にも選択肢


 通知や法律などにより、不登校に対する考え方が変化したことが増加の要因ではないかとの見方がある。NPO法人星槎教育研究所「ふれあいフリースクールせいさ☆うぃず」(富山市愛宕町)の高野愛代表は「法律によって、保護者らが『学校だけが全てではない』と思えるようになってきたのでは」と指摘。富山大大学院教職実践開発研究科の石津憲一郎准教授(教育心理学)は、学校は子どもが社会的に自立するための力を養う場として重要としつつ、「適応指導教室やフリースクールなどの“バイパス”の存在を、大人が広く認めていくことが大切」と話した。


 「学校に行かないという選択は、自ら命を絶つよりもよっぽど良い」。星槎国際高校富山学習センターの嶋悠里さん(3年)は、高校2年で不登校を経験し、転校を決意した。「最初は将来や学校のことは考えたくないもの。けれど、ふと『自分はこうしたい』と思えてくると思う。ゆっくりでいいから進めばいい」

 

◆教育機会確保法◆
 2016年12月公布、17年2月施行。正式には「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」という。国や自治体が不登校の児童生徒を支援することを初めて体系的に明記した議員立法で、個々の児童生徒の状況に応じた支援を行うことや、支援に必要な情報を関係者間で共有することなどを定める。小中学校に通えなかった人に対し、夜間中学校などの教育機会を確保することも盛り込まれている。

2018年12月29日北日本新聞・webunより