ランドセルじゃなくてもいいんです!じわりと広がる「リュック型通学カバン」ってどんなもの?
- 2022.09.06
- 学校
小学生といえばランドセルを思い浮かべるほど、日本に深く根付いているランドセル文化。でも、実は使用義務はありません。値段の高さや重さを指摘する声もある中、別の選択肢として「リュック型通学カバン」を提唱する動きが、富山県内でも広がりつつあります。
ランドセルの使用は法令などで定められているわけではありません。学校が指定する場合を除き、原則的には何を使ってもOKです。
それでもランドセル文化は根強く、水泳用品メーカーのフットマーク(東京)が2020年、全国の小学生の保護者400人を対象に行ったアンケートでは、9割がランドセルを購入。理由の多くは「他に選択肢がなかった」「指定カバンだと思っていた」というものでした。
一方で「子どもには重そう」「価格が高い」という声もそれぞれ3割に上りました。

富山市小学校長会の米田真二会長は「丈夫で教材がきちんと収まり、両手が空くものであれば、ランドセルにこだわらなくても構いません」と言います。
同校長会は、8月に開かれた富山市PTA連絡協議会との懇談会で、リュック型の通学カバンを紹介。ランドセルの平均購入額が約5万6000円(2022年、ランドセル工業会調べ)と年々高くなる中で、「経済的に負担を感じる親御さんもいる。別の選択肢もあると知ってもらえれば」と話します。
1万円台で多彩な機能
リュック型の通学カバンとはどのようなものなのでしょうか。約2年前から取り扱いを始めた制服専門店「ユニフォームスタジオコパン」富山店(富山市上袋)を訪ねると、さまざまなメーカーの製品が並んでいました。ランドセルの特徴である「カブセ」型のふたを採用するなど、いずれも見た目はランドセル寄りで、カラーバリエーションも豊富です。
撥水加工や反射材付きはもちろん、メーカーによっては、内側にタブレット端末を収納するポケットや、荷物を固定するストラップを設けるなど、機能面も充実。近年多発している豪雨災害を想定し、水に浮く仕様になっている製品や、体への負担を軽減させるためにウエストベルトを付けたり、背当て部分に通気性の良いメッシュ素材を施したりと、登山用リュックのような機能を備えた製品もあります。
気になる価格は9900~19800円と、ランドセルの平均購入額の2~3割程度。重さもほとんどの製品が1キロ以内に収まっており、一般的なランドセルより軽くなっています。
売れ行きは「年に少しずつ」と、まだまだランドセルが主流ですが、同店を経営するユニフォームニシジマ(高岡市問屋町)の黒越久夫社長は「お客さまからは『手ごろな価格でいいですね』といった評価をいただいている。安全で経済的な負担も軽い『次世代型』通学カバンをぜひ一度、検討してほしい」と呼び掛けます。
浸透している地域も
富山県内を見渡すと、既にリュック型の通学カバンが一般的になっている地域もあります。
高岡市能町小学校では、1973年からリュック型の「ナップランド」を利用。5500円と安価で軽く、黄色で目立つのが特長です。ランドセルを選ぶこともできますが、大半の児童がナップランドを使っているといいます。
また、立山町では2023年度から、小学校に入学する全ての児童にリュック型の通学カバンを無償配布します。子どもたちの身体的負担や家庭の経済的負担を軽減するのが目的で、アウトドア用品メーカーのモンベル(大阪市)が製造。町は、少なくとも25年度までは取り組みを続ける予定で、当面はランドセルを選んでもよいとしています。

少しずつ広がりを見せるリュック型の通学カバン。一方で、耐久性や型崩れのしにくさなど、ランドセルにはランドセルならではの魅力があります。通学カバンを選ぶ際は、長所と短所を見極めて、納得のいく選択をしてください。