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「『自分のせいで家族もコロナ感染』子どもの心の傷どうすれば?」森昭憲先生の【子育て相談室】

現在も続く新型コロナウイルス「第6波」では、子どもたちの陽性が増えています。そんな中、コロナ感染によって心の傷を負ってしまった子どものケアについて、相談が寄せられました。県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長で、富山県リハビリテーション病院・こども支援センター小児科部長(児童精神)の森昭憲先生にアドバイスをもらいます。

【相談】
コロナに感染し、家族全員が順番に陽性になりました。最初に保育園で感染が判明した年長の娘は、パニックになり家族全員に「ごめんなさい」とずっと言い続けて、心に傷を負っています。その後も、1人でトイレにも行けない、常に親にくっついているなど、不安定な気持ちが伝わってきています。
息子も陽性となり、妹に「お前がコロナになったからだ」と責めることがありました。学校に復帰後、コロナ差別を感じることもあり、子どもたちにとってつらい日々が続いているようです。どのようにして、この傷を癒やしていけばよいでしょうか。(30代、ママ)

 

「気を付けても感染する」「差別はダメ」
大人が日頃から姿勢で示す

まず重要なのが「コロナ感染者への差別はダメ」「気を付けていても感染してしまう」という、”大人”の明確な姿勢です。
コロナウイルスは誰でも感染すること、感染者に対する差別は行ってはいけないことを、コロナの話題が出る時に、学校でも、家庭でも、大人が子どもさんに毅然として常に伝えてほしいです。

子どもが安心する事 OK出るまで付き合う

相談の御家庭では、娘さんが心のダメージを負ってしまっていると思います。娘さんが安心して生活できることが目標ですが、娘さんが安心する事(トイレについていく、くっついている事など)について、娘さん自身がしなくてもいいよとOKサインを出すまで、付き合ってあげてほしいです。

コロナ差別
小さなことでも学校に報告を

相談にあった『学校に復帰後、コロナ差別を感じることもあり、子どもたちにとってつらい日々が続いている』というのは、大人が反省をしなくてはいけない大きな問題です。保護者の方々は、学校で差別があると思われた時には、些細(ささい)な内容でも学校に報告し、毅然とした態度で対応するよう要望してください。

差別した子 頭ごなしに叱らず
背景に大人の問題ある可能性も

差別をしていた子どもには、頭ごなしに叱らずに、なぜ差別をしてしまったのかを聴きます。子どもが差別するに至った背景があるかもしれないからです。

もしかしたら、その子どもの周囲の大人に「コロナ感染した人は差別されても仕方ない」などとコロナ感染者を差別する意識がないか、大人自身が振り返らないといけないかもしれません。そのような背景があれば、是正するための対策が必要です。ちょうど、いじめへの対応と同じように思います(差別をいじめに置き換えてみてください)。


森 昭憲(もり・あきのり)

県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 小児科部長(児童精神)・精神科部長  心理療法科長 

1970年生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業。
内科、和漢診療を経て、精神科病院に勤務。あいち小児保健医療総合センター心療科、豊田市こども発達センター、愛知県立城山病院(児童精神・精神科)にて児童精神医学・発達障がい診療の研修。
2017年より富山県リハビリテーション病院・こども支援センターに勤務し、子どもの心の外来・精神科の診療を担当する。資格は精神科専門医・指導医、精神保健指定医