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「中学生の子どもがきょうだいで不登校になってしまいました。3年生もいて進路が心配です」明橋大二の【子育て相談室】

質問 中学生の子どもがきょうだいで不登校になってしまいました。3年生もいて進路が心配です。(40代、ママ)

 

明橋 きょうだいで不登校になるケースはあります。「不登校がうつった」「上の子が学校も行かず家でゲームばかりしている様子を下の子が見て、楽でいいなと学習し、学校へ行かなくなってしまった」と考える人もいますが、不登校はうつるものではありません。上の子、下の子、それぞれに理由があって、学校に行けなくなったのです。
そもそも不登校は決して楽ではありません。本人は、自分を責め続けています。学校へ行けるものなら、行けたほうがよほど楽なのです。本人のこういう気持ちを理解し、学校へ行きづらくなった理由について話を聞いてみてください。
学校で難しい授業を受けるのが苦痛、友達関係が良くない、勉強についていけない、家庭の雰囲気が悪い、など、さまざま考えられ、それらが重なっているケースもあります。まずは、それらの問題に一つ一つ丁寧に対応することが大切です。それでも本人の不安が消えない、解決できないということもありますが、「親が自分の苦しさを聞いてくれた」「できる範囲の手立てを考えてくれた」と子どもが感じることで、親子の信頼関係は深まります。本人がまだ言葉にできないこともあります。そういう時も、「言葉にできないけど、それだけつらいことがきっとあったんだね」と伝えるだけで、子どもは少し安心できることがあります。いずれにせよ親は子ども本人の気持ちに寄り添いながら、支えていくしかありません。
不登校の理由や対応方法については、第1回の相談で詳しくご紹介しているので参考にしてください。

編集室 不登校と理解し支えていくと覚悟しても、やはり進路を考えると親は焦ってしまいます。

明橋 本人が高校に行きたいという気持ちがあれば、入れる高校は必ずあります。私立、定時制、サポート校、技能連携校、通信制などです(※)。親がやるべきことは、まず情報収集です。このまま休み続けたらどんな進路があるか、学校に再び行けばどんな進路があるか、さまざまな選択肢があることを伝えてください。

編集室 2学期がスタートしました。長い休みが終わって再び学校が始まり、つらい思いを抱えている子どももいるかもしれません。親はどのようなことに気を付ければよいでしょうか。

明橋 やはり表情ですね。笑顔がない、よくため息をつく、しくしく泣くなど。また日曜日の夜は表情が暗く、逆に金曜日は元気ということもあるかもしれません。
季節の変わり目は、心を病むことが多い季節です。特に夏の疲れが出る秋は、気持ちが沈むことで病気になる人が多くなります。いつも以上に、子どもたちの表情に注意をしてほしいですね。
 

※定時制、通信制の特徴

●定時制
働きながら学べる…働きながら学ぶことができるよう配慮されています。修業年限は、原則として4年間ですが通信制課程との併修、技能連携制度、仕事を単位に換算する実務代替の制度を利用し、3年間での卒業も可能です。
自分のペースで学べる…自分の学習計画に基づき、興味、関心などに応じた科目を選択して学ぶことができます。(単位制)

●通信制
いつでも、どこでも学べる…自宅で教科書や学習書を使って勉強し、レポート提出と、年間約30日のスクーリング(面接指導)を受け、必要な単位を修得します。3年間での卒業も可能です。なお准看護学校に在籍して、学んだことの一部が単位として認められる技能連携制度もあります。
 ※富山県教育委員会作成の「県立高等学校をめざすみなさんへ(平成30年度入学者選抜)」より

 

※イベントは終了しました
明橋先生が代表を務める「親と子のリレーションシップほくりく」の交流大会「信じよう‼子どもの力」が、2018年10月20日(土)に富山県総合福祉会館(サンシップとやま)で開かれます。
<主な内容>
〇富山の団体の活動報告(午前10時10分~11時10分)
〇とやま子どもの権利条約ネット発表(午前11時20分~正午)
〇分科会(午後1時~3時)
「食べて・遊んで・集まって~考えよう子どもの権利」
「話してみよう~不登校・ひきこもりのこと」
「子どもの力を信じる 1・2・3(ワン・ツー・スリー)‼」
「『二つの道』~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」
<参加費>大人1000円、学生以下無料 ※当日参加も可能

 

 コメンテーターの皆さんへの相談、アドバイスへのご意見、また「うちも同じですよ」「うちはこうしてちょっと良くなりました」など共感やアドバイスなど、あなたの声をお待ちしております。ご意見はこちらから

 

明橋 大二(あけはし・だいじ)

真生会富山病院心療内科部長、「子育てハッピーアドバイス」シリーズ著者
1959年、大阪府生まれ。 京都大学医学部卒業。 国立京都病院内科、名古屋大学医学部付属病院精神科、愛知県立城山病院をへて現職。
精神保健指定医、小学校スクールカウンセラー、高岡児童相談所嘱託医、NPO法人子どもの権利支援センターぱれっと理事長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。

【ひとコト】子どもによっては、新しい環境に慣れるのに時間がかかる子がいます。親からなかなか離れない子に「1年生なんだから、お兄ちゃんになったんだから、しっかりしなさい」とあまり言うと、より不安になってしまいます。
学校から帰ってきたら、子どもとしっかり話す、またスキンシップの時間を取ることで、がんばっている子どもの気持ちをしっかりと受け止めてあげてください。

 

明橋先生の新著「HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子」が、1万年堂出版から発売されました。イラストは、コノコトで4コマ漫画&エッセー「敏感さは宝物 ななとひよこママのHSC子育て」を執筆するイラストレーターの太田知子さん。親の皆さんに向けて、HSCの知識と、子育てのスキルをまとめた「マンガで分かる」HSC解説本です。四六判、232ページ、1,296円(税込)。