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④バイリンガルへの道は日本語でのコミュニケーションから 【英語のある子育て】

通訳・翻訳者として国内外で活躍する藤田彩乃さんが、自らの子ども時代、そして自身の子育てと英語講師としての経験から、子どもが英語を好きになるためのヒントを紹介します。

日本語でのコミュニケーション能力を高めよう

「第二外国語の運用力は、母国語を超えない」。これは事実です。母国語の力が、最終的な第二言語の力を決めます。つまり、日本語も十分に話せないようでは、英語のレベルはさらに下がります。
そして、たった週数回の英語学習が、母語を学ぶ妨げになったりはしません。世界ではバイリンガルは当たり前で、小さい頃から数か国語を話す人は山のように存在します。帰国子女などは別ですが、もし幼い頃に英語を学んだことで母語が弱くなるのだとしたら、そもそもの国語教育に問題があるのでしょう。英語を学びながらも、母語の日本語で、しっかり思考力や感性を磨くことが大事だと思います。

英語は、簡潔に論理的に具体的に話す言語

私は、日本人の多くが英語を話せない理由の一つは、論理的なやり取りや自分の意見を表現するコミュニケーション能力を養成してこなかったからだと思っています。日本語ではあいまいな発言でも、周囲があうんの呼吸で真意をくんでくれます。しかし英語では真逆。自分の意見に説得力を持たせて発表する力が求められるため、「Why?(あなたはなぜそう思うのですか?)」という質問をよくされます。

私自身、アメリカで大学に通い、さらにアメリカでビジネスをしてきて、自分はプレゼンテーション、ディベート、論理的思考力(※1)、批判的思考力(※2)が弱いと痛感しました。どれもがグローバル社会で必要なのに、少なくとも私が受けてきた日本の学校教育では教えてくれなかったスキルです。
そして欧米人だけでなく、他の非英語圏の人も、自分の意見を通すのが上手です。そんな彼らの話も、よく聞くとそんな大した意見を言ってなかったりもします。ただアメリカでは、発言しない人は存在価値がないので、みんなとにかくよく話す。そして人前で発言することや周囲から反対意見をもらうことに抵抗感がないのです。

バイリンガルへ 家庭でできること

①子どもの「なぜ?」を、一緒に考えてみて!
安易に検索して答えを言ってしまうのではなく、子どもなりに考えさせることが大事。日本語で大丈夫です。学校で習ったことや世の中の出来事に対して、「どう感じたのか、どうしてそう思うのか」を説明する力は英語を話すうえでとても重要です。
英語はツールで、話すことが目的ではありません。日本語が母国語の場合、考える言語は日本語ですから、日本語でどれだけ深い思考ができるかが、コミュニケーションにおいて重要になります。

②日本のこと、世界のことなど世の中の時事問題に関心を!
人は誰でも知っている話題だと話しやすいものです。私自身、海外に出て、世界の常識についてはもちろん、いかに自国のことを知らないか気づかされました。

③褒めて褒めて、やる気を伸ばす!
子どもは、自分の得意なことを好きになるものです。どんな簡単な単語でもいいので、上手に言えたら何度でも褒めてあげてください。中学生くらいになると、マイナス面にばかり目がいきがちですが、ぜひ小さなことでも褒めてください。子どもに自信を与え、やる気を引き出すことが大切です。

真の国際人になるためには長い道のりが待っている

これまでたくさんのバイリンガルを見てきましたが、日本語と英語のどちらもビジネスレベルで通用するバイリンガルの人で、楽をして習得した人はいません。国際社会で認められる英語力をつけるには、高校や大学の段階で、「おとなの英語」を学ぶ必要があります。ここからは本人の努力次第。子どもの頃の英語教育は、本格的に英語を学ぶことになったときのための素地を養うことになるのです。(おわり)

注)
※1.Logical Thinking(論理的思考力)とは、根拠や理由を明確にしながら物事の整合性を見出し、合理的に解決していくこと
※2.Critical Thinking(批判的思考力)とは、物事を鵜呑みにせず、前提や常識、思い込みを疑い、客観的・多面的に分析し、本質を見抜くこと

 

藤田 彩乃さん

◆藤田 彩乃 (ふじた・あやの)◆

通訳・翻訳者、英語講師。富山市出身。日本映像翻訳アカデミー(東京)の映像翻訳ディレクターとして、映画や海外番組の字幕や吹き替えを手掛けた後、米ロサンゼルスに8年滞在し、子会社の設立と運営を指揮した。現在はアメリカ人の夫とともに富山市で英会話スクールを運営。3歳と0歳の娘がいる。