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発達障害とゲームの関係  森昭憲先生の【子育て相談室】

コロナ禍によりおうち時間が増えたことで、子どものゲームやネット、スマホの利用時間が増えています。親はどのように、この問題と向き合っていけばよいのでしょうか。富山県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長で、富山県リハビリテーション病院・こども支援センター小児科部長(児童精神)の森昭憲先生に、4回にわたってアドバイスをもらいます。2回目は、発達障害の子どもとゲームの関係についてです。

子どもさんが持っている特徴が原因で、ゲームから離れにくくなるケースがあります。それが神経発達症、いわゆる発達障害の特徴にある以下の3つです。

ストレスかかると特徴顕著に

神経発達症(発達障害)の特徴は、ストレスがかかった状態にいると、より特徴が目立ってきます。そのため、学校生活などで苦痛を感じていたりすると、先に説明したような特徴と行動が強くなり、その結果としてゲームの依存度が上がってしまうのです。ゲームへの執着が強くなったことがきっかけで、神経発達症の特徴を持っていたことが分かることもあります。

子どもにとってゲームが強い刺激物になってしまっている場合には、さすがにゲームの制限や中止が必要になります。ただ同時に、神経発達症の特徴を持つ子どもさんは、基本的に学校では過ごしにくいものだということを大人が理解しなければいけません。なぜでしょうか?
 

楽しいこと(=ゲーム)がないと 心が病んでしまう

学校という場所は多数派にとって過ごしやすいようにつくられているため、神経発達症の特徴を持つ少数派の子どもさんには居心地が悪くなっていることが多くあります

親や教員、全ての保護者が神経発達症に対して適切な配慮を行っていない場合や、差別や偏見から来る心無い発言や振る舞いに遭遇した場合に、神経発達症の特徴を持つ子ども達は学校でつらい経験をすることになり、学校にいること自体が苦痛になります。このような状況では、ゲームを闇雲に制限することが難しくなります。なぜなら楽しい事がないと、子どもの心が病んでしまうからです。
 

子どもを責めないで

私からのお願いですが、神経発達症の特徴がある子どもさんや、学校でいじめられたりして心にダメージを負った子どもさんがゲームに熱中するようになっても、子どもさんを責めないでほしいのです。ゲームに時間を使わないと過ごしていられない、ゲームで時間を埋めなくてはいけない状況になり、その結果、ゲームに熱中しているからです。

周りの大人がすべきことは、学校が子どもさんにとって過ごしやすい場所なのか?など、子どもさん周囲の環境を見つめ直すこと、そして子どもさんが心身ともに健やかに過ごせる環境について考えて提供することだと思います。

【1回目】子どもがゲーム依存症ではないか心配です
【次回】学校から帰ってゲームをする理由




森 昭憲(もり・あきのり)

県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 小児科部長(児童精神)・精神科部長  心理療法科長 

1970年生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業。
内科、和漢診療を経て、精神科病院に勤務。あいち小児保健医療総合センター心療科、豊田市こども発達センター、愛知県立城山病院(児童精神・精神科)にて児童精神医学・発達障がい診療の研修。
2017年より富山県リハビリテーション病院・こども支援センターに勤務し、子どもの心の外来・精神科の診療を担当する。資格は精神科専門医・指導医、精神保健指定医