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モデル・武内秀龍さんに聞く【10代のキミに贈る本】

イギリスを拠点に活動する富山市出身のモデル、武内秀龍(たけうち・ひでたつ)さん(23)は、2020年春夏のDior パリコレクションをきっかけにランウェイデビューを果たしました。その後もBurberry や Tommy Hilfiger 、DUNHILLなどの有名ブランドのモデルを務め、189センチの長身とアジアンな雰囲気を武器に、世界を舞台に活躍しています。モデルを目指したきっかけや必要なスキル、心構えなどを聞きました。

「何のために」考え、行動変わる

―高校時代に読んだ本が、その後の人生に影響を与えているそうですね。

少年ジャンプのコミックスが好きだった私に、ある⽇⽗が与えてくれた本が中村⽂昭さんの「何のために」です。当時の⾃分には目からうろこの内容で、本を読むのが好きじゃなかった⾃分が1⽇で読み終えたくらいです。

タイトルの「何のために」という⾔葉は時を重ね経験を積んだ今でも、⼈⽣で何かを決断する時に必ず⼼掛けている⾔葉です。物事、何をするにしても⽬的があるわけです。普段は当たり前すぎて⾒えていない事柄の中に、⼈⽣のヒントがある。そして「何のために」を考えることは、かなえたい夢や⽬標の実現を⼿助けし、⼈⽣の逆算や必要性を判断することができます。

―自分が良い方向に変わったエピソードもあるとか。

ちょうどこの本に出合う前、16歳の時に、陸上部で⾛り⾼跳びをしていました。⼀時期、⾛り⾼跳び専⽤のスパイクがどうしてもほしくなりました。成績が良い選⼿はみんな持っていたし、⾒た⽬もカッコ良く、意欲をそそられるデザインでした。

私は⽗に「成績が良い選⼿はみんな持っているから買ってほしい」とお願いしました。すると⽗は「普通の短距離スパイクはもう買ってあげたのだから、それで良い結果を残せるように努⼒しなさい」と。私はふてくされてその場を⽴ち去りましたが、後⽇、この本を読んで、正当な理由にたどり着き、「⾼跳びのスパイクが何のために必要なのか」の理由づけをうまく父にプレゼンテーションすることができました。

和服屋の長男というプレッシャー

―モデルを目指したのは、家業も関係しているそうですね。

「何のために」モデルになりたかったか。それは、⾃分の⽣い⽴ちに関係しています。こんなところで名前を出すのもおこがましいのですが、「⽜島屋」という和服屋を営む家庭の⻑男として⽣を受けました。⻑男として⽣まれたプレッシャーの中、洋服が主流な今の日本で「着物離れ」をどうにかして挽回したい。

どうしたらいいのか、試⾏錯誤した先に、モデルとしてパリのファッションウィークを歩いて、デザイナーと仲良くなって、コラボなんかできたら、着物や伝統⼯芸が⻄洋のインスピレーションをベースに⾰新的なものになるかもしれない。そんな考えが浮かびました。そして、「パリのファッションウィークでランウェイを歩くため」に「ブランドのオーディションに⾏かなければいけない」、「ブランドのオーディションに⾏くため」に「モデル事務所に所属しなければいけない」、「モデル事務所に所属するため」に「モデル事務所に⾜を運ばなければいけない」といったロジックが自分なりに出来上がりました。

何の保証もない厳しい世界

―本格的にモデルを目指したのはいつですか。

20歳のころです。東京の⼤学に通いながら、「海外でモデルをするため」に必死に英語とイギリスの⽂化を勉強しました。現地に⾏っても困らないよう、東京では外国⼈の友達を多くつくり、毎⽇強制的に英語を使う環境に身を置きました。私の場合は、この「何のために」の逆算がたまたま上⼿くいった例です。

―モデルになるために何が必要ですか。

モデルという職業がそもそもかなり特殊なので、私が伝えられることはすごく少ないです。失敗を恐れず、何も保証されない世界に⾜を踏み⼊れる強い覚悟は必要です。⾃分の体で稼ぐ、⾃分の⾒た⽬をふるいにかけられるこの職業では、どんなストレスにも打ち勝てる強いメンタルセッティングと⾃分の体調面を管理する⼼構えが必要です。

⼤切なことは、⾃分のブランディングと、⾝体・精神ともに常に健康的であることを⼼がけること。よく遊び、よく笑い、失敗を恐れず経験を積み重ねること。あとは、⾃分が⼀番だと思い続けることですね。

英語とお金の勉強は必須

―モデルを目指すなら、今すぐにやるべきことは。

だまされたと思って、英語の勉強をしてください。英語は、⽇本の典型的かつ保守的な考え⽅を覆す、⻄洋の⽂化を肌で感じて学ぶためのツールです。世界レベルでのコミュニケーションを習得することは、あなたの夢が何であれ、可能性とそのチャンスを無限⼤にしてくれる武器になります。

もう一つは「お⾦を使ってお⾦を増やす⽅法」の勉強です。どんなにきれいごとを並べても、やりたいことをサポートしてくれるのはお⾦の面も大きいです。圧倒的な資⾦⼒があれば、他の⼈と同じ夢を持っていても違うスタート地点から始められて、より良いコミュニティに囲まれることができます。
―後悔もあるそうですが。

⼈⽣で⼀つ後悔していることがあるとすれば、私はこの「何のために」を⾒つけるのに時間がかかってしまい、もう戻ってこない過去の時間を有意義に使えなかったことです。何のために宿題をやるのか、何のテストなのか、それを分かっていれば、もっと勉強や⽇々の課題に熱がこもったはずです。今結果は結果だと思って、今は⾃分を誇らしく思うようにしています。あなたが直⾯している勉強の時間は必ずあなたの将来のためになってくれます。

夢はすべての原動力

―夢に向かって走り続けるモチベーションを教えてください。

夢は、全ての原動⼒だと思います。誰でも必ず持っているもの。私も「夢がない」「何がやりたいか分からない」と思っていた時期もありましたが、何となくの夢があったから、とにかくがむしゃらに「これも必要かも」と思うことに挑戦し続けてきました。夢がすでに決まっている⼈は、その夢を常に⼝に出して⾔ってください。⼈に⾔うことで、結果を聞いてくる仲間ができます。友⼈に⾔えなければ、⾃分に⾔って聞かせてください。夢が変わり続ける⼈は、優先順位を決めて、⼀番ウエートを置く⽬標をセットし、バランスよく時間を使うといいと思います。私にできたのだから、あなたに不可能はありません。

武内さんは自身の活動をインスタグラム(https://www.instagram.com/__hidetatsu__/)で発信しています。

憧れのお仕事の人に聞く!「10代のキミに贈る本」は、以下の5人にもお話を聞きました。写真をクリック!