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「ポテサラ論争」が映す社会③ 親切心? でも時代とずれー婚活を支援する「なんとおせっ会」会長代理

 「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」。総菜コーナーで子連れの女性に高齢男性が言い放った一言がツイッターに投稿され、SNSを中心に議論が巻き起こった。女性に対する固定観念、世代間のギャップ…。「ポテサラ論争」から浮かび上がる日本社会の姿とは。

◆ポテサラ論争◆
 発端は7月にツイッターに投稿された目撃談。総菜コーナーでポテトサラダを買おうとした幼児連れの女性が、高齢男性から「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と絡まれていたという。13万件を超えるリツイートがつき、テレビのワイドショーでも取り上げられるなど話題になった。

この人に聞きたい」は折々の社会現象を深堀する北日本新聞のインタビュー企画です。今回のテーマでは
ドイツ出身日本在住のコラムニスト サンドラ・ヘフェリンさん
高齢者の心理に詳しい名古屋大大学院教授 川合伸幸さん
にもインタビューをしています。

 

婚活を支援する「なんとおせっ会」会長代理 
山田由理枝さん(66)

親切心? でも時代とずれ

 今は核家族が多くて、おばあちゃんが作ってくれた食事をみんなで食べる時代ではなくなっています。子連れのお母さんに忠告したおじいちゃんは今の時代について認識不足かなと思いました。

 昔の人は近所のおじさん、おばさんから注意されて育っていると思います。ご近所付き合いがアットホームだったから、怒られても嫌じゃなくて。「自分のために言ってくれたんだな、ありがたいな」という感覚を持っていました。

 ポテサラのおじいちゃんは近所のおじさんみたいに親切心で言ったのかもしれない。「子どものためには手作りがいい」と伝えかったのかな。でも今は「ご忠告ありがとうございます」と感謝できる人は減ったのではないでしょうか。

 私も、言う方なんです。行列に割り込もうとする人がいたら、自分の前に入ろうとしたのではなくても注意する。幼い頃から「世のため人のためになる人生を送らなきゃ駄目」と教え込まれました。嫁いだ山田家でも、102歳のおじいちゃんが今も全国強制抑留者協会の会長をしている。実家も山田家も世話焼きでおせっかいの血が流れているのかもしれません。

 初孫を抱いて感動したことがきっかけで、婚活を支援する活動を始め、2011年に南砺市と「なんとおせっ会」を設立しました。初めは風当たりが強く「プライベートなことに口を出したら嫌がられる」と言われました。「ろくな人を連れてこない」「目立ちたいんでしょ」と陰口が聞こえることもあった。不思議なことに、10年たって193組成婚すると「いいことしとるね」と言われるようになりました。結婚したカップルに子どもが生まれて、あいさつに来てくれると本当にうれしいですね。

 活動を通して、おせっかいと言われようが、「結婚しられ」って言った方がいいことが分かりました。ただ、結婚しない主義の人は別。本人が望んでいないのに無理強いするのは、悪いおせっかい。ポテサラ論争の論点はその辺りにあると思います。

 ポテサラぐらい作れと言われた人は、何か怒られたような気分になったんでしょう。心のどこかで、本当は作った方がいいと思っているからかな。でも「いいお母さんってこう」みたいなのは、気にしなくていいと思います。

 もし私がポテサラのおじいちゃんに出会ったら「本当は作らんなんがやけどね、今日急いどるから。言ってくれてありがとう」ってなるかな。食事は7、8割は作りますが、お総菜を買うこともあります。短い人生、ストレスをためないように楽しく頑張りたいですね。(聞き手・小山紀子)

やまだ・ゆりえ 1954年熊本県生まれ。ヤマヒデホーム専務。2011年に発足した婚活を応援する南砺市のボランティア組織「なんとおせっ会」の副会長に就任、現在は会長代理。「移住応援団 なんとおせっ会」会長なども務める。同市在住。