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里山を借景に 心豊かに過ごす平屋の家(富山市K邸)【帰りたくなる家10月号】

理想の家づくりは、いろんな家を見ることから始まります。北日本新聞社が発行するフリーマガジン「まんまる」の人気コーナー「帰りたくなる家」を、コノコトではさらに情報をプラスしてご紹介します。

 LDKの大きな窓から見渡す里山の景色が開放的なK邸。県産スギを随所に用いた木のぬくもりあふれる空間で、農業を営む30代のご夫婦と2歳の娘さんが、温かな家族のひとときを過ごしている。

 富山市郊外の山間部にたたずむK邸。ブラウンに塗装されたスギ板を鎧張りした外観は、素朴な温かみがあり、周囲の風景と調和している。  

のどかな風景になじむ、素朴で温かみのある外観

 室内はLDKと主寝室、水回り、ロフトというシンプルな平屋の間取り。県産スギを使用した床や天井、ご夫婦が友人らと塗った漆喰壁など、自然素材をふんだんに取り入れた、木の香り漂うナチュラルな空間に心が安らぐ。

等間隔に並んだ天井の梁(はり)が美しい27畳のLDK。大きな窓から望む里山の風景は、季節や天候によって日々変化するのがおもしろい
ご主人のお気に入りのスペースから撮影した一枚。家の奥行きが感じられる。まきストーブの柵はご主人のお手製

 K邸の家づくりは、住宅メーカーに勤務経験があるご主人が理想の間取りなどを記した1枚のスケッチから始まった。一番こだわった部分が、LDKの北側一面に設けられた幅8・5mの出窓だ。「LDKのどこからでも、自然の風景を望めるようにしたかった」とご主人。途中で135度の角度を持たせて視界を広げる、ベンチのように利用できるよう窓枠の奥行きを広くするなど、建築士や大工と意見交換を重ね、美しい里山の景色を可能な限り生活の中に取り込めるよう工夫した。  

木のぬくもりあふれるトイレ・手洗い空間。左側はロフト下を活用した大容量の収納になっている
手前側が勝手口、奥が玄関になっている。勝手口の入口を広く取ることで、大きな荷物なども出し入れしやすい

 キッチンの横に勝手口、背面に浴室・洗面所を配置。勝手口には、洗濯機や服や靴などの汚れを落とすスロップシンクを置き、汚れた仕事着を勝手口で脱いで浴室へスムーズにアクセスできるよう動線を考慮した。「ゆっくりお風呂につかって、1日の疲れを取るのが至福のひとときです」と奥さまはにっこり。

キッチン周りには生活動線を考え、勝手口や浴室を配置。キッチンを一段下げることで、ダイニングで過ごす家族と目線を合わせて会話を楽しめる

 暮らし始めて今秋で3年を迎える。ある日の窓辺では、奥さまと娘さんが外に訪れる野生動物を指差して会話を弾ませ、またある時は、沢のせせらぎや木々のざわめき、鳥のさえずりをBGMに親子で昼寝をする―。自然と共存するK邸にはいつも、ゆったりと豊かな時間が流れている。

リビングの奥にあるロフトへとつながる階段
LDKの南側上部に設けられた約22畳のロフト。子どもの遊び場や訪れた友人らが宿泊するスペースとして重宝している
勾配天井を生かした落ち着いた雰囲気の主寝室
第50回県建築文化賞建築賞の住宅部門で優秀賞を受賞した

 

【取材協力】 水野建築研究所
      上市町大坪43-1-2
       TEL.076-473-0345