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発達障害の10・20代働くカフェ 砺波でスタート 

発達障害や不登校、引きこもりなどさまざまな悩みを抱えた子どもや保護者らの「居場所」が砺波市にある。一般社団法人「Ponteとやま」が運営する「みやの森カフェ」だ。6月から週1回、発達障害の若者が働く場として「若者カフェ」をスタート。店主の加藤愛理子さん(65)=同市=は「カフェなので誰が来てもいい。一人で悩まず、まずは足を運んでみて」と話している。 (田辺泉季)

体験で就労不安を解消

 みやの森カフェは2014年、養護学校などで教員を務めた水野カオルさん(56)=射水市=と、フリースクールで講師経験のある加藤さんが開設した。若者カフェのほか、園芸や書道が体験できる教室や保護者向けの相談会などを開いている。学校や社会になじめない若者をはじめ、生きづらさを感じている人たちの心のよりどころとなってきた。

■全ての仕事こなす

 「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」「お待たせしました。アイスコーヒーです」。大きな窓から光が差し込む明るい店内で、エプロンを着けた若者たちが忙しそうに働く。ひっきりなしに訪れる客一人一人に丁寧に接する表情は、緊張を漂わせながらも充実感に満ちていた。

 就労に不安のある若者たちに仕事を体験してもらおうと始めた若者カフェ。10~20代の4人がメニューの考案や調理、接客、皿洗い、会計といった仕事の全てをこなしている。

 スタッフの一人、小矢部市の男性(19)は「ここでは今までやったことのない仕事ができるし、役割ができるので自信になる。自分の得意なこと、苦手なことが分かってきた」と楽しそうに語る。

 射水市の男性(22)は「最初は緊張していたけど、自分にもできると思ったら肩の力が抜けた。失敗は悪いことじゃないって気が付いた」と笑顔を見せた。

■スキル身に付ける

 カフェでの仕事を通し、若者たちは互いに協力する姿勢やコミュニケーション能力、報告や連絡といった働く上で必要なスキルを身に付ける。「学校に行ける人は行った方がいいけれど、休む時間が必要な子もいる。学校に行けなくても、学びの場は他にもある」と加藤さん。水野さんは「自分自身を理解し、『この生き方が好き』と思えるような選択をしてもらえたら」と願う。

 発達障害に詳しい富山大人間発達科学部の水内豊和准教授(44)は、カフェは発達障害の若者たちが社会に出る前に仕事を経験できる貴重な場とし「同じ悩みを経験してきた人たちが集まることで互いにサポートし合える。教育や障害への知識が豊富な加藤さんと水野さんの存在も大きい」と話した。
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 若者カフェの問い合わせはみやの森カフェ、電話0763(77)3733。

個々に合った配慮大切/水内富山大准教授

 発達障害とは自閉症スペクトラム障害(ASD)や学習障害(LD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、発達性協調運動障害(DCD)などの総称で、脳機能の発達が関係する生まれつきの障害。文部科学省の調査によると、全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達障害の可能性があるのは6・5%と推定されている。

 特定の物事へのこだわりが強い▽他者の気持ちを想像しにくい▽「さ」と「ち」、「p」と「q」など形の似た文字の区別が難しい▽自転車に乗る、ボタンを掛けるなどの複雑な作業に困難を覚える-といった特徴がある。授業でつまずいたり、友人とのコミュニケーションがうまくいかなかったりといった経験をする人が多い。

 水内准教授は「発達障害の人は文脈や状況に依存した会話が苦手で『ちゃんと整列して』と言われても、『ちゃんと』の意味がつかみにくい場合がある」と指摘する。「壁際に沿って並んで」などと具体的に伝えることを勧める。「発達障害は一人一人症状が異なるので、その人に合った配慮をすることが大切」と話した。

2020年8月9日北日本新聞・webunより