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子どものゲーム依存 長いほど心身に影響

インターネットに接続して楽しむオンラインゲーム。ネット環境があれば、時間や場所を問わず多様なジャンルのゲームを楽しめるが、のめり込むと心身に悪影響を与え「ゲーム障害」==になる恐れがある。県内の支援機関にも相談が寄せられている。子どもがゲームと上手に付き合っていくにはどうしたらよいのか、専門家に聞いた。(田辺泉季)

3時間超、深夜の利用注意

 依存症の専門治療を行う国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県)が昨年、国の委託で10~20代を対象に行った調査によると、休日に2時間以上オンラインゲームなどをしている人が54%に上ることが分かった。「ゲームのために学業や仕事に悪影響が出てもゲームを続けた」と答えた人は、平日の利用が1時間未満の人で1・7%、6時間以上の人では24・8%となり、利用時間が長くなるほど日常生活に支障が出やすいことも判明した。

 富山県依存症相談支援センター(富山市蜷川)には2018年5月から今年2月までに、ネットやゲームの利用に関する相談が175件寄せられた。うち小中高生に関する相談は49件。多くは保護者からで「子どもが長時間ゲームを続けている」「時間を決めても守らない」「学校を休みがちになっている」といった内容が目立つという。

ドーパミンで多幸感

 子どもの生活習慣病やネット依存症に詳しい富山大医学部疫学・健康政策学講座の山田正明助教は「ゲームに長時間熱中するのはドーパミンの影響がある」と話す。

 ドーパミンは楽しいときやうれしいときに脳内に放出される神経伝達物質で、快感や多幸感が得られる。近年はネットを通じて複数の人で遊べるオンラインゲームが主流。「一緒に遊んでいる仲間にプレーを褒められたり、難しい技を見せたりすると、ドーパミンが放出される。その多幸感を繰り返し得ようと、ゲームに夢中になってしまう」と山田助教は分析する。

 子どもの場合は、成人以上に注意が必要だ。脳には社会的、理性的な判断を下す「前頭前野」と、本能的な欲求や感情に関わる「大脳辺縁系」がある。子どもの脳の場合は前頭前野が発達段階にあるため、本能のままに歯止めなくやり続けてしまうという。

ノーゲームデー

 ゲーム利用の目安は園児なら1日30分~1時間、小学生なら1~2時間程度。「3時間を超えてはいけない。深夜の利用も避けて」と山田助教は強調する。長時間になると、就寝、起床時間が遅くなり、昼夜が逆転してしまうからだ。保護者が外遊びや習い事を勧めるなど、ゲーム以外に興味、関心を持つよう促すことも大切だ。

 子どもが勝手にアプリを入れたり、課金サービスを利用したりしないよう、保護者がパスワードを設定するなどして利用を制限することができる。タイマー機能で、一定時間を過ぎるとネットに接続できないようにする。週に1、2日程度「ノーゲームデー」をつくるのも有効だ。

 「子どもは大人の行動をよく見ている。保護者はゲームをする時間を極力減らしてほしい」。山田助教の調査では長時間ゲームやネットで遊ぶ子どもは、その保護者の利用時間も長い傾向にあった。「保護者がゲームやネットの危険性について知らない場合がある。負の側面を知り、子どもと一緒にゲーム遊びのルールを決めることが大切だ」と話している。


香川 1日60分条例/富山 子ども主体にルールづくり

 香川県では4月、子どものネットやゲーム依存症対策として、利用時間の目安を盛り込んだ「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行された。

 条例は18歳未満の子どもを対象に、1日当たりのゲーム利用を60分まで(休日は90分まで)、スマートフォンは中学生までは午後9時、高校3年までは同10時までを目安とするように定めている。保護者には子どもと話し合ってルールを作り、順守してもらうよう求めている。

 富山県健康課によると、県内で同様の条例を制定した自治体はない。県教育委員会小中学校課が2月までに行った調査では、県内の全ての県立学校と全15市町村の88小学校、58中学校で、子どもが主体となってネットやゲーム使用に関するルールを作っている。


◆ゲーム障害◆
 ゲームをしたいという衝動を抑えられず、日常生活よりもゲームを優先し、健康を損なうなどの問題が起きても続けてしまう依存症。2022年から使われる世界保健機関(WHO)の「国際疾病分類」最新版で治療が必要な病気と認定された。

2020年6月21日 北日本新聞・webunより