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③「通じた!」の感動がやる気に【英語のある子育て】

通訳・翻訳者として国内外で活躍する藤田彩乃さんが、自らの子ども時代、そして自身の子育てと英語講師としての経験から、子どもが英語を好きになるためのヒントを紹介します。

小さな成功体験を積もう

 小学生のころから、ディズニー映画や音楽を聞いたりまねしたりして英語に触れてきた私ですが、中学生になると、英語を使う楽しさを知るようになりました。

学校のALTのネイティブ講師と仲良くなり、辞書を片手に自分なりに英文を書いて先生に手渡し。先生もかわいい便せんに丁寧に返事を書いてくれました。自分の英語が伝わって、さらにそれに反応があることがとても嬉しかったのです。文通は、先生がカナダに帰国してからもしばらく続いていました。

子どものころよく聞いていたCD

 家族で海外旅行に行った時には、母に言われてホテルでフロントの人に話しかけてみたのですが、簡単な会話とはいえ通じた時はとても感動しましたし、ちょっとした自信になりました。今の子供たちは、私の頃よりも外国人と触れ合う機会は多いでしょうから、How are you?という簡単なやり取りでもいいので、「通じた!」という成功体験をたくさん積んでほしいと思います。実際に英語を話す人と触れ合うことで、単なる勉強だった英語をリアルに感じ、英語でいろんな人と話したいというやる気につながると思います。

アイドルのインタビュー 分かるまで繰り返し

 高校生になるとアメリカのポップアイドルグループ、バックストリートボーイズを好きになり、歌詞を覚えて歌うだけじゃなくて、彼らの特集やインタビューを録画して、日本語字幕を頼りに、何度も何度も分かるまで見るようになりました。

我が家は、当時はまだ珍しかった衛星放送やケーブルテレビ、有料チャンネルがかなり早くから導入されていました。ダイアナ妃が事故で亡くなった時は、ずっとCNNを流していました。英語が分からない父に「通訳して」と言われ、当時は何を言っているのかよく分からず、あんな早口の英語は分からなくて当たり前なのに、なぜか悔しく思ったのを覚えています。

 今はインターネットがあれば英語の映像を簡単に見ることができます。もし興味のある英語圏の有名人がいたら、その人が英語を実際に話している映像を見るのもモチベーションアップになると思います。最初は何を言っているのか、なかなか分からないかもしれませんが、そんな時は英語字幕をつけながら見ると効果的です。分からない単語はこまめに辞書を引いて、内容を確認しながら100%内容が分かるまで、何度も何度も聞いてみてください。

中高生のころのノート

映画で学ぶときは作品に要注意

 「映画を字幕なしで見たい」とおっしゃる方は多いのですが、映画のセリフは、脚本家によって練りに練られた会話であるため、意味がたくさん詰まっていて難しいことが多いです。会話のスピードも速く、聞き取りにくいセリフもたくさん存在します。また、SF、医療、裁判、軍隊など、特殊な環境で繰り広げられるストーリーの場合は、語彙(ごい)も特殊で勉強には不向きです。もし映像作品を使って勉強するのであれば、日常生活を舞台にしたテレビドラマやアニメのほうが親しみやすく、実用性もあると思います。私は字幕翻訳を長年やっていますが、プロの字幕翻訳者でも、台本ナシで英語の音声だけ聞いて内容をすべて理解できる人は意外と少ないです。映画やドラマなどの英語が聞き取れなくても、あまり落ち込まないでくださいね。

藤田 彩乃さん

◆藤田 彩乃 (ふじた・あやの)◆

通訳・翻訳者、英語講師。富山市出身。日本映像翻訳アカデミー(東京)の映像翻訳ディレクターとして、映画や海外番組の字幕や吹き替えを手掛けた後、米ロサンゼルスに8年滞在し、子会社の設立と運営を指揮した。現在はアメリカ人の夫とともに富山市で英会話スクールを運営。3歳と0歳の娘がいる。