メニュー

「陰口ばかり言う同僚にうんざり」 「女」のホンネ

女性特有の対人関係の悩みは一体どこから来るのでしょうか? 精神科医の水島広子さんは、女性の嫌な部分をかぎかっこ付きの「女」と呼び、深層心理に迫る鍵と位置付けます。連載「『女』のホンネ」では水島さんが「女」に注目しながら、トラブルの原因や処方箋を解説します。

■先生への質問
 職場の同僚で、その場にいない人の悪口ばかり言っている人がいます。なるべくこちらからは話し掛けないようにしているのですが、1対1だと無視もできず、愛想笑いしながら話を合わせている状態です。悪口ばかり聞くのが嫌で、後からどっと疲れます。どう対応すればよいでしょうか。

■悪口は困っている証拠
 陰口が好きな人への対応は、困りますね。
 「悪口なんて言うべきではない」と言えば、自分が次のターゲットになります。陰口を言うタイプの人は、自分が否定されると傷ついてしまい、自分を傷つけた相手に逆襲するのが常道だからです。しかし、だからと言って同調して人の悪口を言いたくもない。
 そんなときにはどうしたらよいでしょうか。
 「女」度が高い人は、陰口を言うし、同調を相手にも求めます。「自分が間違っているわけではない」という確認です。実は、それほど自信がないということなのです。陰口は、「私、間違っていないよね?」「あなたも同じ立場だったら、同じように思うよね?」「あなたは、私の味方をしてくれるよね?」という確認なのです。

■「お見舞い」伝えて
 そこで、一緒になって悪口を言うと、「〇〇さんの悪口を言った」という事実が残りますので、何かの際に問題になることもあるでしょうし、そもそも自分自身が嫌になりますよね。
 私がお勧めするのは、「相手が経験した嫌な体験に『お見舞い』をする」というものです。悪口を言うということは、どんな形であれ、相手に嫌な思いをさせられたということ。それは、直接の体験である場合もありますし、単に「あの人がねたましい」ということかもしれません。
 いずれにしても、相手が嫌な思いをしたことは事実です。ですから、「へえ、そんなことがあったんだ。つらかったね」「そういうときって嫌な気持ちになるよね」という程度の「お見舞い」を伝えてあげれば、「相手に共感する」と「〇〇さんへの悪口を言わない」ことが両立するのです。

■「相手」を中心に
 主語は常に「相手(この場合は悪口を言う同僚)」にすることがポイントです。「つらかったね」「嫌な思いはしたくないよね」と、「相手」を中心に話している限り、安全です。
 また、悪口を聞くと疲れる、というのは、相手に「そんなことを言うなんて、未熟」「人間として、どうなの?」などの評価を下しながら聞いている、ということになります。
 評価を下しながら人のネガティブな話を聞くと疲れます。しかし、相手は、そのときの自分が感じたことを言っているだけ。それに対して「人間として…」という評価を下すと、必要以上に疲れることになります。
 「相手にもプロセスがあって、今は悪口を言いたいんだな」と思えれば、だいぶ楽になります。そもそも「悪口を言う」というのは、「自分が困っている」証拠。困っているから、相手を悪く言って、一生懸命自己正当化をするのです。つまり、悪口がきつい人ほど、困っていると言えます。

■温かく聞き流す
 ですから、話を聞く側としては、「ああ、だいぶ困っているんだな」という程度に温かく話を聞き流すのが正解でしょう。
 「困っているんだな」と思うからと言って、助けてあげる必要はありません。助けるために、同調して悪口を言う必要はないのです。それよりも、「ああ、私もそんな体験、したことがある」とか、「そういうときってつらいよね」という共感のメッセージにとどめるべきでしょう。


 

 ■水島さんが定義する「女」
性別としての「女性」を意味するのではなく、嫉妬深い、表裏がある、人のことを決めつけたがる、群れたがる、などいわゆる「女の嫌な部分」と言われるような性質のこと。男性に選ばれて初めて価値が生まれる、気が利くことを求められる、などの背景から作られてきた傷と考えられる。女性だけでなく、男性にも見られる性質である。
 ■水島広子さんの略歴
みずしま・ひろこ 精神科医。対人関係療法専門クリニック院長。慶応大医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。同大医学部精神神経科勤務を経て、2000年から2期5年間衆院議員を務めた。「女子の人間関係」「怒りがスーッと消える本」など著書多数。ことし1月、連載中の「『女』のホンネ」などを加筆修正した新著「困った悩みが消える感情整理法」をさくら舎から刊行した。1968年東京生まれ。


■質問を募集します
水島さんへの質問を募集しています。職場や家庭での人間関係の悩み、不安やストレスに感じていることをお寄せください。200字程度にまとめ、名前、住所、電話番号、年齢、職業を明記の上、メール(bunka1@ma.kitanippon.co.jp)で送ってください。掲載時は匿名となります。

7月20日北日本新聞・webunより