メニュー

「ママたちの輪に入れない」
「女」のホンネ

女性特有の対人関係の悩みは一体どこから来るのでしょうか? 精神科医の水島広子さんは、女性の嫌な部分をかぎかっこ付きの「女」と呼び、深層心理に迫る鍵と位置付けます。連載「『女』のホンネ」では水島さんが「女」に注目しながら、トラブルの原因や処方箋を解説します。

■先生への質問
 この春、東京から富山に引っ越してきました。前は子どもの保育園の「ママ友」とのお付き合いが楽しかったのですが、転入先の保育園ではママ同士のお付き合いが固定化しているようで、うまく輪に入れません。子どものことを相談し合ったり、子どもと一緒に遊びに行ったりできるような友達が欲しいのですが、どう声を掛ければよいでしょうか。


■子どもを中心に考えて
 
ご自身が東京から富山への転居という大きな変化を乗り越えている最中には案外気付かないものですが、迎え入れる側にとってもそれは大きな変化となり得ます。「新しいママが来た!」という変化に誰もが適応しなければならず、それが自分たちのそれまでの平和を脅かすような気になる人もいるでしょう。

■異物感みたいなもの
 特に「東京から来た」ということだと、「洗練された都会から来た」というイメージをもたらす場合もあります。「そんな人が私たちと仲良くしたいわけがない」「ださい、とか思われているのではないか」という異物感みたいなものが、親しくなるのを阻害することも少なくないと思います。「たまたま転勤で来たけれど、どうせあの人は富山に根付かない」というような目で見られてしまうこともあります。
 どんな変化でも人間にとってはストレスですが、それに適応するための時間もプロセスも人それぞれです。特に相手は「新しい人」。どんな人かがよく分からないうちは、距離の近い関係を持つことは難しくても当然です。
 ただ、原点に戻って考えてみれば、ママ友とは、あくまでも「子どもの友達のママ」のことなので、子どもを中心に考えてみるだけで解決することもあります。

■誰と仲が良いか
 見ていきたいのは、子どもは誰と仲良くしているか、というところです。保育園の主役はあくまでも子どもですから、お子さんが誰と親しくしているかを見て、そのお母さんと「いつも仲良くしていただいて…」みたいなあいさつや雑談をするのが王道です。それだけで、その人が属するママ友集団に入れる可能性が高まると思います。
 「子ども同士が仲良しだから」は、どんなお母さんにも通用すること。お友達の親も含めて、子どもにとって良い環境を作りたいですよね。

 あるいは、保育園に参加する保護者としてのやり方。保育園にもいろいろと行事があります。そういうときに「私もお手伝いできますか?」「お手伝いできることがあったらお声を掛けてください」という姿勢でいれば、一緒に行事を支えたお母さん同士で仲良くなれるでしょう。「ちゃんと富山に溶け込もうとしているんだ」という感覚を与えるだけで仲良くなっていくことができるはずです。

 一定の時間をかけてこれらの体験をしてみても、親しいママ友ができないのであれば、それはこの環境における限界だということができます。理由はよく分からなくても、何らかの事情によって新しい人間関係を受け入れるのが難しいのでしょう。お友達は保育園以外のところで求めた方がよいのかもしれません。

■割り切りも必要
 最低限、保育園に求めることは、お子さんが安心して過ごせることだ、と割り切れば、違うところにお友達もできるでしょう。どうしても壁のような感じ方がきつければ、保育園の先生に相談してみることもできるでしょう。それだけでぐっと気が楽になるでしょうし、もしかしたら先生が気に掛けてくれることによって、他のお母さんに話し掛けやすくなるかもしれません。

 

 ■水島さんが定義する「女」
性別としての「女性」を意味するのではなく、嫉妬深い、表裏がある、人のことを決めつけたがる、群れたがる、などいわゆる「女の嫌な部分」と言われるような性質のこと。男性に選ばれて初めて価値が生まれる、気が利くことを求められる、などの背景から作られてきた傷と考えられる。女性だけでなく、男性にも見られる性質である。
 ■水島広子さんの略歴
みずしま・ひろこ 精神科医。対人関係療法専門クリニック院長。慶応大医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。同大医学部精神神経科勤務を経て、2000年から2期5年間衆院議員を務めた。「女子の人間関係」「怒りがスーッと消える本」など著書多数。ことし1月、連載中の「『女』のホンネ」などを加筆修正した新著「困った悩みが消える感情整理法」をさくら舎から刊行した。1968年東京生まれ。

 

■質問を募集します
水島さんへの質問を募集しています。職場や家庭での人間関係の悩み、不安やストレスに感じていることをお寄せください。200字程度にまとめ、名前、住所、電話番号、年齢、職業を明記の上、メール(bunka1@ma.kitanippon.co.jp)で送ってください。掲載時は匿名となります。

6月15日北日本新聞・webunより