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【子どもの力どう引き出す この人に聞きたい】将棋の藤井聡太七段が幼児期に受けた「モンテッソーリ教育」の普及に努める 深津高子さん 

近年、文化やスポーツの分野で富山の若者の活躍が目覚ましい。その背景にある子育て法や指導法、教育理論にも注目が集まっている。子どものやる気を引き出し、持っている力を伸ばすには、どうすればいいのか。親や指導者らに聞いた。

将棋の藤井聡太七段が幼児期に受けた「モンテッソーリ教育」の普及に努める 深津高子さん(国際モンテッソーリ協会公認教師)

口や手を出す前に観察

 モンテッソーリ教育は、将棋の藤井聡太七段が幼い頃に受けていたことから、日本では「英才教育」という印象があるかもしれません。イタリアで最初の女性医師、マリア・モンテッソーリが、スラム街の貧しい子どものために「子どもの家」を作ったのが始まりです。

 私がモンテッソーリ教育に初めて触れたのは、カンボジア難民のキャンプにある保育園でした。そこで「平和は子どもから始まる」という言葉に出合いました。当時は意味が分かりませんでしたが、モンテッソーリの教育を学び、全くその通りだと実感したのです。子どもは皆、100パーセント平和で、無垢(むく)の心で生まれてくる。育つ環境が子どもを左右してしまうのです。取捨選択せずスポンジのように吸収し、差別的な考えや汚い言葉も取り込みます。家族や保育者はもちろん、全ての大人が気を付けないといけません。

 モンテッソーリ教育は「命が育つお手伝い」。「育てる」ではなく「育つ」。子どもが主役です。大人は、育とうとする子どもの邪魔をしないこと。例えば集中しているときに話し掛けるのは、子どもにとって大きな迷惑。「子どもは構ってあげるべき」という固定概念を捨て、集中を邪魔してはいけません。

 私は「家庭でできるモンテッソーリ」をお父さん、お母さんに伝えています。家庭ではまず、1人でできるように環境を整えてあげる。着替えやすい洋服を準備し、子どもが自分で届くところに場所を決めて収納します。歩けるようになれば、食器も洋服も自分で準備できますよ。

 安全な環境をつくったら、口や手を出す前に子どもを観察する。どんなことに興味を持って集中しているか見るのです。子どもには、環境に適応するために特定の事柄に強い興味を持つ「敏感期」と呼ばれる時期があります。例えば、お母さんのスリッパを別の人が履くと怒るのは秩序の敏感期。今そういう時期なんだ、と理解するだけで、子どもとの生活が楽になります。

 困っていたら、「手伝っていい?」と聞いてみる。失敗したときに「だからできないって言ったでしょ」と怒っても仕方ありません。「手伝っていい?」の一言で衝突が避けられます。

 イベントに行くのが子どものためだと思っている親が多いですが、集中するネタは身近なところにあります。近所でチョウを見つけたり、階段を上ったり。遠くのイベント会場にしか楽しいものがないと思うのは間違いです。

 子どもは、球根のようなもの。いつ、何色に咲くかという命のプログラムを全部持って生まれてくるんです。大人の仕事は環境を整え、邪魔をしないことに尽きます。

 聞き手 文化部・小山紀子(東京都国分寺市にて)

 ふかつ・たかこ 1954年大阪府生まれ。AMI友の会NIPPON副代表。翻訳・監修に「パパ、ママ、あのね・・子育てのヒントは子どもが教えてくれる」など。東京都国分寺市在住。

「この人に聞きたい」は折々の社会現象を深堀する北日本新聞のインタビュー企画です。2019年9月2日掲載の「子どもの力 どう引き出す」のテーマでは
魚津市の歌手 CHIKOさんの母 松本昌子さん
バスケットボールの八村塁、馬場雄大両選手を指導した 坂本穣治さん
にもインタビューをしました。