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【子どもの力どう引き出す この人に聞きたい】魚津市の歌手 CHIKOさんの母 松本昌子さん(人形作家) 

近年、文化やスポーツの分野で富山の若者の活躍が目覚ましい。その背景にある子育て法や指導法、教育理論にも注目が集まっている。子どものやる気を引き出し、持っている力を伸ばすには、どうすればいいのか。親や指導者らに聞いた。

魚津市の歌手 CHIKOさんの母 松本昌子さん(人形作家)

自分で決めさせる

 CHIKOはアフリカのコンゴ出身の夫との間に、千葉県市川市で生まれました。今は歌手として活動しています。小学校に上がる前に私の故郷の魚津に戻りましたが、肌の色や髪が他の子と違うことをコンプレックスと感じるようになり、「目立ちたくない」と自分を抑えるようになりました。周りはみんな地元で生まれ育った子で、CHIKOのような子はいません。できるだけ普通に見えるように頑張っていたみたい。「学校に行きたくない」と言うこともありました。

 「CHIKOは悪くない。他の人と見た目は違うけど、間違ってるわけじゃない」と言い続けましたが、周りがいくら言っても本人が「これでいい」と思わなければ変わらない。学校を休みたいなら休めばいい。私ができることはやるよ、と声を掛け続けました。「大変だね」とは思いましたが、決まった環境の中で何とかやっていくことは人生の足しになるのかな、という思いもありました。

 そんな時、知り合いに声を掛けられ、福井県勝山市にあるフリースクールの見学に行ったんです。そこは子どもが自由に過ごし、いろいろなことを自分で決めます。宿泊体験の時、迎えに行くと友だちと夢中で遊んでいて。これまではそんなことはなかったので、転校を決めました。

 100人待ちと言われ、CHIKOが5年生の時に転校しました。平日は寮で暮らし、週末魚津に戻ってくる生活です。楽しんで通っていましたが、「どうして他の子と違うんだろう」という思いは消えなかったみたい。

 ここだけが世界じゃないことを伝えたくて、夏休みの1カ月をニューヨークで過ごしました。「人種のるつぼ」でいろいろな人と出会い、世界も広がったと思います。いいと思ったことはやってみます。後悔したくないですしね。その後、中学3年の9月に南砺市利賀中に転校し、郷土芸能活動が盛んな南砺平高校に進学しました。卒業後は歌手になると自分で決めて、音楽学校を見つけてきました。

 子どもは、自分で必要だと気が付くまでは、何百回言ってもやらないと思います。思い返せば、私もそんな子でした。頑固で思い通りにしないと気が済まない。でも両親は自由に育ててくれました。

 結局世の中に出ていくのは子ども自身。自分でやるしかない。親は「私にできることは一生懸命やるよ」と味方になることはできます。それが私の場合はフリースクールに転校させたり、環境を変えてあげることでした。世間の側から子どもを見て怒ったり恥ずかしがったりするのではなく、子どもと同じ側から世間と向き合い、常に味方であるべきだと思います。

 聞き手 文化部・小山紀子 (魚津市にて)

まつもと・まさこ 1955年生まれ。人形作家として活動し、県内外で個展を開いている。夫はコンゴ出身のミュージシャン、BBモフランさん。魚津市在住。

「この人に聞きたい」は折々の社会現象を深堀する北日本新聞のインタビュー企画です。2019年9月2日掲載の「子どもの力 どう引き出す」のテーマでは
バスケットボールの八村塁、馬場雄大両選手を指導した 坂本穣治さん(富山市奥田中バスケットボール部コーチ)
将棋の藤井聡太七段が幼児期に受けた「モンテッソーリ教育」の普及に努める 深津高子さん 国際モンテッソーリ協会公認教師
にもインタビューをしました。順次コノコトで紹介します。