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【子どもの力どう引き出す この人に聞きたい】バスケットボールの八村塁、馬場雄大両選手を指導した 坂本穣治さん

近年、文化やスポーツの分野で富山の若者の活躍が目覚ましい。その背景にある子育て法や指導法、教育理論にも注目が集まっている。子どものやる気を引き出し、持っている力を伸ばすには、どうすればいいのか。親や指導者らに聞いた。

バスケットボールの八村塁、馬場雄大両選手を指導した 坂本穣治さん(富山市奥田中バスケットボール部コーチ)

裏切られても信じる

 子どもにどんな可能性があり、人に勝っているところはどこか。目には見えない部分を探して日々闘っています。子どもを育むには、環境を整えることが大切です。子どもを箸に例え、水が入ったグラスに入れるとします。濁った水だと箸は屈折して見えますが実際は真っすぐで、曲がって見えるのは何か理由があるのです。

 塗装の仕事をしながら週4回、外部コーチとして富山市奥田中バスケットボール部で教えています。OBでNBA入りした八村塁、Bリーグの馬場雄大はダイヤモンドだったと思います。自分だけでなく多くの人が指導し、多面的に磨き上げられたのだと考えています。
 過去に八村や馬場以上のダイヤの原石がいたかもしれませんが、輝かせられなかったと反省しています。気持ちに余裕がなく感情で叱っていたのが、子どもに伝わっていました。部員が40人ほど入って、残ったのは1人のこともありました。

 「この人の言うことなら聞いてみようかな」と思ってもらえるコーチにならなければいけません。コートでは座りません。子どもたちと同じように立って汗だくになり、声をからします。「諦め」は許さないと子ども、自らに言い聞かせます。「この子は駄目だ」と決めつけません。関わった子は裏切られても信じ、絶対に味方でいます。公正に接して比較せず、八村、馬場も特別扱いしませんでした。

 バスケの指導では、子どもが「やめたい」と思う寸前まで、心身共に多少追い込まないといけないと考えています。そこで力が引き出せます。子どもには耐え忍ぶ強さも必要です。大切なのは、帰りに「よく頑張った」と言葉を掛けること。ストレスはそんなに耐えられるものでなく、その日のうちになくすことが求められます。

 夢は大きい方がいいですが、頭でっかちになるとすぐ倒れます。倒れないため、毎日の練習が大切です。10年先の未来は分かりませんが、1年間のサイクルで考えてみます。昨日と同じだと「1」、少し頑張ったら「1・1」。そうした積み重ねを掛け算していくと、無限の大きさになります。それが「0・8」「0・9」の毎日だと限りなくゼロに近づきます。

 親は、子どもを信じてほしい。ライオンとなり子を崖から突き落とし、時には見て見ぬふりをすることも必要でしょう。いろいろな人に指導、注意を受けるのが人間形成につながります。子どもは親が喜ぶ姿を見て頑張ろうとします。子どもが頑張っているときは、心から喜んであげてください。教師は、子どもを過去の実績や成績で決めつけないでほしいです。子どもは毎日、変化するので、今の姿を見てほしいと思います。
 聞き手 文化部・橋本真弓 (富山市にて)
 

さかもと・じょうじ 1960年生まれ。富山工業高を卒業後、東京で働く。家業の坂本吹付工業を継ぎ、現在取締役。92年に富山市奥田中バスケットボール部コーチとなった。富山市在住。

「この人に聞きたい」は折々の社会現象を深堀する北日本新聞のインタビュー企画です。2019年9月2日掲載の「子どもの力 どう引き出す」のテーマでは
魚津市の歌手 CHIKOさんの母 松本昌子さん
将棋の藤井聡太七段が幼児期に受けた「モンテッソーリ教育」の普及に努める 深津高子さん 国際モンテッソーリ協会公認教師
にもインタビューをしました。