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「楽しい」を原動力に変えて 【元東大クイズ王 伊沢拓司さんトークショー】

元東大クイズ王の伊沢拓司さんを迎えたコノコトファミリートークショー「東大卒知識モンスター伊沢くんと夏休み!」が富山国際会議場で開かれた。伊沢さんはクイズに打ち込んだ学生時代や受験の思い出を振り返りながら、親子連れら約800人に勉強のこつを伝授。何かに熱中することの大切さを伝えた。北日本新聞社が運営する子育て世代応援ウェブサイト「conocoto(コノコト)」が主催。チューリップテレビの日比あゆみアナウンサーが進行役を務めた。

勉強も遊びも全力で

-会場には伊沢さんのように育ってほしいという親御さんがたくさん集まっています。まず伊沢さんの少年時代について教えていただけますか。

伊沢 両親が共働きだったので、保育園には誰よりも早く着いて、帰るのはいつも最後。だから自由に1人遊びするのが得意でした。幼稚園じゃなかったので、ひらがなを読めるようになったのは小学校入学直前。書けるのは、名前の6文字「いざわたくし」だけでした。他のクイズの仲間のような輝かしいエピソードなんてなくて、あえて挙げるなら3歳くらいの時にアジサイの花を認識していたくらい。それをあるテレビ番組のスタッフに話したら「3歳にして全ての国旗や花の名前が分かった」なんて紹介された。全ての花の名前なんて言える訳はないし、そもそも国旗はどこから出てきたのか(笑)。

-ご両親はどんな教育方針だったんですか?

伊沢 母は割と「勉強しなさい」と口を酸っぱく繰り返していましたね。ずっと言われ続けると、さすがに「やらなきゃいけない」って思い込んでいました。あと、父は子どもだった僕に難しい言葉を使うんですよ。「訓示」と言いながら、聞いたことのない言葉や複雑な時事問題についてコントを交えながら話すんです。最初は意味が分からないんだけれど、聞いているうちに何となく理解できるようになる。そうやって語彙や知識が増えていきました。

-中学からはクイズ漬けの日々を送ったそうですね。

伊沢 僕は負けず嫌い。塾でずっと1番だったのにライバルがグングン力を伸ばして勝てなくなったことがあります。初めて、これまで苦手だった算数に向き合い、勉強法などを親や先生に質問するようになりました。そうすると、たまにはライバルに勝てるようになった。そうやって入ったのが中高一貫校の開成です。そこでクイズ研究部と出合いました。今でこそ100人くらい部員がいるけれど、当時は中高合わせて8人だけ。先輩たちは強かったんですが、クイズは早押しもあるから、知識量だけで勝負が決まるわけではない。だから僕でも1番になれんじゃないかと思って夢中になりました。授業中も教科書を机に立てて、授業を聞いているふりをしてクイズばかりやっていました。

-勉強もですが、伊沢さんはライバルの存在が大きいですよね。

伊沢 僕は1人でいると調子に乗ってしまう。僕みたいに怠けちゃうタイプは競い合った方がいい。だから頑張りたい時に誰かがそばにいることは大切。ライバルの良いところは、お互いの努力を認め合えること。塾にもライバルがいて、クイズでもライバルがいました。良いライバルに恵まれなかったら、ここまで頑張ることができたかは分かりません。

-高校生クイズで2連覇してから、東京大学の受験に挑みました。

伊沢 高校2年生で部活を引退したんですが、東大を目指せるレベルじゃなかった。親にはずっと「このままじゃヤバい」って言われていました。僕は「高校生クイズがあるから待っていて」と言ってきました。テレビでは、志望校は東大だと言っていたので、もし入れなかったら、もう出演できなくなる(笑)。追い込まれて必死にやりましたね。焦っている姿に親も何も言わなくなりました。

-クイズの経験は受験勉強に良い影響を与えましたか。

伊沢 クイズ自体が入試に役立ったかというと、そんなことはありません。でもクイズをやっていたおかげで、自分と相手を分析して、ゴールまでどうやってたどり着けばいいか対策を考えるべきだということが分かっていたんです。単にがむしゃらに目先の点数を追い掛けるのではなく、勉強のやり方自体を勉強したり、センター試験や東大入試の傾向を分析したりして、最短距離で合格する筋道を考えました。これが良かったですね。

-最後に子どもたちにメッセージをお願いします。

伊沢 僕がやっているクイズに関わる仕事はこれまでなかったもの。もし自分の可能性を絞っていたら、ずっと楽しんできたクイズの道を選ばなかったかもしれない。未来への可能性はいろいろなところにある。今、楽しいと思うことに全力で突っ込んでいってほしい。僕がやっている「QuizKnock」という会社は「楽しいから始まる学び」というテーマを掲げています。今は価値観が多様化していて、お金がもうかるからいいという時代じゃない。「これが楽しい」という気持ちが、これからのみんなの原動力になるはず。楽しいという気持ちを大切にして、勉強も遊びも全力でやってほしいです。


いざわ・たくし
1994年茨城生まれ、埼玉育ち。私立開成中学校・高等学校、東京大学経済学部卒業。中学時代より開成学園クイズ研究部に所属し開成高校時代には、全国高等学校クイズ選手権史上初の2連覇を達成。2016年に立ち上げたwebメディア『QuizKnock』で編集長を務め、YouTubeチャンネル『QuizKnock』の動画への出演や企画などを行う。